第2四半期の実質GDP成長率はやや減速も、堅調に推移

(香港)

香港発

2018年08月15日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処によると、2018年第2四半期(4~6月)の香港の実質GDP成長率(前年同期比)は3.5%(名目成長率は7.7%)だった。第1四半期(4.6%)より1.1ポイント低下したが、直近10年の年平均成長率(2.7%)を7四半期連続で上回った。2018年上半期(1~6月)の成長率は4.0%となった。季節調整済み前期比の成長率はマイナス0.2%と、前期より2.3ポイント低下した。

2018年上半期の香港の名目GDPは1兆3,640億2,400万香港ドル(約19兆963億円、1香港ドル=約14円)。広東省深セン市は1兆1,009億3,800万元(約17兆6,150億円、1元=約16円)で、それぞれ米ドルに換算(IMF公表の期中平均レート)して比較すると、香港(1,740億1,200万ドル)が深セン市(1,719億400万ドル)を21億800万ドル上回った。

引き続き堅調な個人消費が牽引

2018年第2四半期のGDPを需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比6.1%増と、前期(8.8%増)より2.7ポイント低下したものの、堅調に推移した。政府消費支出と合わせれば、実質GDP成長率に対する寄与度は4.7ポイントとなり、消費が成長の主な押し上げ要因になった(図参照)。また、良好な雇用環境と資産効果が消費意欲を下支えした。好調な個人消費やインバウンド需要も奏功し、2018年上半期の小売売上高は2,477億5,700万香港ドルで13.4%増と2桁の伸びを示した。

図 香港の実質GDP成長率および需要項目別寄与度の推移(四半期ベース)

固定資本形成は前年同期比0.4%増と、伸び率は前期(4.2%増)より3.8ポイント低下した。機器設備投資は4.7%増だったが、公共部門における建設投資が8.0%減となったことが影響した。在庫増減を含めた成長率への寄与度は0.4ポイントとなった。

財の輸出(実質ベース)は前年同期比4.6%増で、伸び率は前期(5.2%増)よりも縮小した。4~5月は好調だったが、6月に減速した。2018年第2四半期全体でみると、欧米での旺盛な最終需要を背景に、米国向けの輸出が拡大し、EU諸国向けの輸出も好調だった。加えて、好調な世界経済とアジア諸国での活発な製造・貿易活動を背景に、アジア向けの輸出が拡大した。とりわけ中国本土向け輸出が引き続き大きく伸びた。サービス輸出も6.1%増と、前期(7.9%増)よりは低下したが、増勢を維持した。2018年上半期の海外から香港への来訪者数は、10.1%増の3,061万人に達した。財・サービス全体の純輸出の成長率に対する寄与度は、財の輸入の増加もあり、マイナス1.7%となった。

米中貿易摩擦もあり通年の成長率予測は据え置く

香港政府は、米中貿易摩擦や米国など先進国における金融引き締めに伴う金融市場の変動など、香港を取り巻く外部環境のマイナス要素が増加しているとして、2018年第1四半期のGDP公表時(5月11日)に発表した2018年通年の成長率予測値(3~4%)を据え置いた。

(吉田和仁)

(香港)

ビジネス短信 224e4fcdb1196a91