通貨単位を10万分の1に切り下げ、8月20日実施

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2018年08月07日

大統領府は7月25日、官報第41446号掲載の法令3548号で、通貨単位を当初予定していた1,000分の1(2018年4月23日記事参照)から10万分の1に切り下げることを発表した。導入予定は当初の6月4日から8月6日に延期され、その後8月20日へのさらなる延期が発表された。

マドゥロ大統領は、切り下げ発表により通貨ボリバルの信頼が喪失していることを懸念し、新通貨「ボリバル・ソベラノ(Bs.S)」の信用力を、世界最大級の埋蔵量を誇る原油の価値を基軸とした政府発行の仮想通貨ペトロが支えると発表した。

ハイパーインフレ隠すとエコノミストは批判

これに対し、一部のエコノミストは、今回の通貨単位切り下げは政府がハイパーインフレを隠すための手段にすぎないとしている。IMFは、ベネズエラの2018年末のインフレは100万%を超えるとの見通しを出している。

野党勢力が過半数を占める国民議会は8月1日、政府に対して通貨単位切り下げを行う前にハイパーインフレ抑制の効果的な措置を取るよう要請、大統領府法令3548号を直ちに停止することを要求することで合意した。また、切り下げに銀行や商業部門が間に合わせることは不可能であり、一層の混乱を招くとした。

ベネズエラでは、深刻な現金不足や1回のクレジットカード決済額の上限額がインフレに追い付いておらず、小さな買い物でも決済を何度も行わなければならないなど、生活に支障を来している。国民生活に直結するガソリン料金や地下鉄料金など、単価の小さい商品やサービスに関しては、通貨単位切り下げの際の端数調整や料金・価格の見直しなどによって実質値上げになる可能性もあるとみられている。

(マガリ・ヨネクラ、高多篤史)

(ベネズエラ)

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