第2四半期は失業率改善も非正規雇用が拡大

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年08月08日

ブラジル地理統計院(IBGE)は7月31日、2018年第2四半期(4~6月)の失業率を12.4%と発表した(図参照)。前期比0.7ポイント低下、前年同期比でも0.6ポイント低下し改善傾向にある。労働力人口は前年同期比0.5%増の1億420万3,000人、失業者数は3.9%減少し1,296万6,000人となった。

図 ブラジルの四半期別失業率推移

ただし失業率改善の内容をみると、民間部門では第1四半期に引き続き、非正規雇用の増加が改善を後押ししているようだ。例えば、労働手帳のない非正規雇用(家政婦を除く)が前年同期比3.5%増の1,098万9,000人となった一方、労働手帳のある正規雇用は3,283万4,000人と1.5%減少した。この数値は統計を開始した2012年以降の四半期ごとでは過去最低水準で、民間部門の正規雇用の創出力が依然弱いことが分かる。

一方、公的部門では正規雇用(注)が前年同期比5.4%増の129万4,000人だったが、非正規も5.5%増の247万2,000人と拡大した。また、厳しい雇用情勢を反映し、病気などの理由で就業できない者と就業能力があるにもかかわらず働く意思がない非労働力人口は、前年同期比1.9%増の6,564万2,000人となった。IBGEで雇用・所得調査を担当するシマル・アゼレド氏も、失業率の低下の要因に関して、非正規雇用と公的部門の雇用増加、さらに求職活動を行わない労働力人口の増加を指摘している(「フォーリャ・デ・サンパウロ」紙7月31日)。

なお、第2四半期における就業者の月当たりの平均収入をみると、民間の正規雇用で前年同期比0.2%増の2,099レアル(約6万2,970円、1レアル=約30円)、非正規雇用では5.7%増の1,313レアルだった。ちなみに、公的部門の正規雇用は10.2%増の3,659レアル、非正規雇用は3.3%増の1,812レアルで、就業者全体の平均収入は前年同期比1.1%増の2,198レアルだった。

(注)軍隊・統合労働法によらない雇用形態の公務員を除く。

(二宮康史)

(ブラジル)

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