クラン港の港湾使用料の引き上げ、2019年3月に延期

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年08月27日

マレーシアのクラン港湾局は8月10日、9月1日から予定していた港湾使用料の引き上げを2019年3月1日に延期することを発表した。引き上げの対象となる主な料金は、コンテナ取扱料金(ターミナル・ハンドリング・チャージ:THC)。同局は延期の理由として、9月1日に導入される売上税・サービス税(SST)を挙げている。アンソニー・ローク運輸相は「港湾利用者に対してSSTへの移行期間を十分に設けることが必要と判断した」としており、SST導入と港湾料金引き上げの時期をずらすことにより、利用者の負担感を緩和することが目的のようだ。

政府は2015年8月に、クラン港の使用料引き上げを認可した。2015年9月1日(実際には同年11月1日に引き上げ)および2018年9月1日の2回に分けて、15%ずつ引き上げることが決定しており、引き上げ後の料金は政令に明記されている(政令P.U.(A)123PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)政令P.U.(A)177PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

日系企業への影響は限定的か

世界海運評議会の最新のデータによると、クラン港は2016年のコンテナ取扱量で世界11位と、東南アジアではシンガポール港(2位)に次ぐ。2017年の年間コンテナ取扱量は約1,200万TEU(20フィートコンテナ換算単位)で、2008年に比べて約5割増になっている(図参照)。日系物流業A社の担当者によると、クラン港の港湾使用料は2019年3月の引き上げ後も「周辺国の主要港と比べて高額でない」という。多くの日系企業が輸出入にクラン港を利用しているが、今回の港湾使用料の引き上げが日系企業に与える影響については「限定的となる見通し」(A社担当者)としている。

図 クラン港の年間コンテナ取扱量推移

(田中麻理)

(マレーシア)

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