国民議会の選挙運動期間入り、JBACが安全対策セミナー

(カンボジア)

プノンペン発、アジア大洋州課

2018年07月12日

カンボジアは7月7日から、国民議会選挙の選挙運動期間に入った。27日まで各地で集会や行進が行われ、投票は7月29日の午前7時から午後3時まで、全国2万2,967カ所の小中学校などで行われる。

カンボジアの政治体制は上院と国民議会(下院)の二院制で、下院は首班指名、法案の発議・議決権、内閣信任・不信任決議、改憲の発議・議決権の権限を持ち、任期は5年。今回の選挙では、下院の125議席が、25州における直接選挙で決定される。

救国党の解党後、与党・人民党の影響力が強まる

前回(2013年)の国民議会選挙では、与党の人民党が68議席を獲得したのに対し、サム・ランシー党と人権党が合同して結成された救国党が55議席を獲得し、救国党の前身2党が確保していた29議席から大幅に躍進した。しかし、2017年2月に可決された改正政党法により、裁判所は幹部が有罪判決を受けた政党を解党させることが可能となり、同年10月に救国党党首のケム・ソカ氏が国家反逆罪で逮捕された。その後、救国党は裁判所の命令により解党され、同党の議席はフンシンペック党や人民党などに分配された。その影響から、2018年2月に実施された、下院議員と地方評議会議員による投票で行われる上院議員選挙では、人民党が58議席全てを獲得した。今回の選挙は、人民党の影響力が強まる流れの中で迎える。

JBACは選挙に伴う緊急事態に備えセミナーを実施

今回の選挙に伴って発生し得る緊急事態に備えるため、カンボジア日本人商工会(JBAC)は6月25日、日本航空グループの警備会社であるジェイ・エス・エスと在カンボジア日本大使館の関係者を講師に招き、安全・危機管理対策セミナーを開催した。

まず、ジェイ・エス・エスが、過去に起きた他国の暴動や近隣国のクーデター、カンボジア国内で発生したテロ事件や暴動などを例に挙げ、緊急事態の発生時は、個人として安全を確保し、現地拠点へ緊急報告を行うこと、現地拠点として事態の把握、緊急対応要員の確保、国外退避、国内待機の選択を行うことなどの注意喚起を行った。

続いて、在カンボジア日本大使館が、投票日までの注意事項として、(1)最新情報を報道や大使館のお知らせなどで把握すること、(2)集会やデモに近づかないこと、(3)特定政党の非難や支持、政治的議論を避けること、(4)家族、職場や知人などと連絡がつくようにしておくことを挙げた。

(磯邊千春、安野亮太)

(カンボジア)

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