輸出拡大を目指しFTA交渉を開始

(スリランカ、タイ)

コロンボ発

2018年07月26日

タイのプラユット首相が7月12日から2日間、スリランカを公式訪問した。シリセナ大統領との首脳会談で、両国間の貿易額を2020年までに15億ドルに増やすという、2017年に合意した目標もあらためて確認、両首脳はこの目標を達成する手段として自由貿易協定(FTA)の締結を掲げ、7月13日には早速第1回交渉が行われた。

スリランカは2016年の輸出額がGDP比12%と低水準で(タイは52%)、新たな輸出先を確保したいというニーズは切実だ。さらに、2017年のスリランカからタイへの輸出額は全体の0.5%にとどまっており(表参照)、シリセナ政権は輸出増に向けてタイとの通商環境の改善に大きな期待を寄せている。

表 2017年のスリランカの輸出額(上位10カ国と日本、タイ)

シリセナ政権はシンガポールとのFTAを5月1日に発効させており(2018年4月27日記事参照)、中国とも年内のFTA締結に向けて交渉を続けている。欧州とアジアの中間にあるスリランカが、シンガポールに加えて中国、タイといったアジアの貿易立国との間で関税を削減・撤廃することになれば、グローバルなサプライチェーンがさらに拡大し、企業にとっては新たな生産拠点の選択肢が生まれる可能性もありそうだ。

(小濱和彦)

(スリランカ、タイ)

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