政府、FTAやCPTPP交渉に向けた意見公募を開始

(英国)

ロンドン発

2018年07月23日

リアム・フォックス国際通商相は7月16日、英国のEU離脱(ブレグジット)後の貿易体制の構築に向けた声明を発表した。今後、英国・EU間の将来関係の交渉に先立って、意見公募を行い、またその一環として、国際通商省は国内各地で通商関係に関する会合を開くとしている。

フォックス氏は声明の中で、「英国は、(EUに加盟後の)過去40年間で初めてどの国と、どのような条件で貿易するかを意思決定する機会を持つことになる。このような意思決定には英国全体で取り組むべきであり、議員、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地域、企業、市民団体、労働組合、そして一般にとって前例のない透明性と包括性をもたらすものになる」とコメントした。

同氏は7月18日には、中小企業連盟(FSB)において英国独自の貿易体制の構築に関する演説を行い、米国、オーストラリア、ニュージーランドとの2国間自由貿易協定(FTA)ならびに「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」の計4協定の交渉について意見公募を開始したことを発表した。フォックス氏は、英国が世界のパートナー国と金融サービス、デジタル、投資という自らの強みを生かせる、意味ある貿易協定を締結することができる、とした。意見公募は14週間にわたって実施される。政府の他の意見公募よりも期間が長いことに加え、EUが実施する貿易に関する意見公募期間よりも長く、将来の貿易に関する国民の声をより多く反映できるものとしている。

さらに、国際通商省は、同省の通商交渉担当者に対して助言を行う戦略的貿易諮問グループを設立する。同グループは、企業や市民団体などさまざまな専門家14人が委員となる。政府は委員の公募を既に開始し、8月17日までに選出する予定だ。委員は四半期ごとに招集され、閣僚や交渉担当者らに対して直接諮問を行う。

政府は7月12日に発表した白書(2018年7月13日記事参照)でも、米国、オーストラリア、ニュージーランドとのFTA締結やCPTPPへの加盟を掲げており、EU以外の地域との貿易体制の構築に向けて、実務面でも動き始めている。

(木下裕之)

(英国)

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