UAEから10億ドル贈与と報道、外貨不足緩和に期待

(エチオピア)

アディスアベバ発

2018年07月03日

アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のムハンマド皇太子は6月15日から2日間エチオピアを訪問し、複数の覚書を取り交わした。覚書にはUAEからの10億ドルの贈与も含まれると複数の当地メディアが明らかにした。10億ドルはエチオピア中央銀行に預託され、外貨準備高を増強し、流動性確保に充てられる見通し。なお、UAE外務・国際協力省はウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で、アブダビ開発基金とエチオピア中央銀行が協力覚書を交換したことに触れている。

輸入原材料の不足で製造業低迷

エチオピアでは外貨不足が慢性的に続いており、例えば、鉄鋼製品を製造するワリア・スチールはエチオピア商業銀行で160万ドルの信用状開設に1年を要したという(週刊英字紙「フォーチュン」6月24日)。輸入原材料の調達遅れで製造業の生産活動は低迷しており、建設工事の遅れや費用高騰も招いている。当地の大手ゼネコンの業界団体は、2017年10月の為替切り下げ以降、鉄筋やセメントなど主要建設資材の価格が51%上昇したとしている。また最近では、医薬品の不足も指摘されている。今回のUAEからの贈与により、輸入に不可欠な外貨割当の承認が進む可能性があり、エチオピア向け輸出ビジネスを手掛ける日本企業からも期待の声が上がっている。

このほかにもUAEは、工業団地、製造業、病院、ホテル、モール建設などで、別途20億ドル相当の投資に合意したとされる。アビィ首相は5月にUAEを公式訪問しており、ムハンマド皇太子のエチオピア訪問はこれに続くもの。エチオピアは隣国ソマリアのベルベラ港の開発ではUAEドバイ首長国の港湾事業会社DPワールドと協力するなど、両国関係は良好だ。

(関隆夫)

(エチオピア)

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