チェンナイで工作機械の国際見本市が開催

(インド)

チェンナイ発

2018年07月13日

南インド最大級の工作機械の国際見本市「ACMEE 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が6月21~25日、タミル・ナドゥ(TN)州チェンナイで開催された。2年に1度開かれる同見本市は、今回で13回目。メインテーマは「生産性向上」と「ロボット工学・自動化」で、日本を含む28カ国から480社が出展した。

見本市を主催したアンバトゥール工業団地製造者協会(AIEMA)のアッヤッパン事務局長は「産業用ロボットを導入することで、国内中小企業の工場で課題となっている、技術力を持つ人材の不足を解決したい」としている(「ザ・ヒンドゥー」紙6月19日)。インドでは生産年齢人口こそ多いものの、特に中小企業において、機械加工技術などを持つ労働力が不足している実態がある。

写真 出展企業ブースに集まる来場者(ジェトロ撮影)

成長するインドの工作機械市場、国内生産も増加

インドでは自動車をはじめ、医療機器や食品加工などの市場の拡大に伴い、工作機械の需要も高まっている。インド工作機械製造者協会(IMTMA)によれば、2016年度におけるインド国内の工作機械の市場規模は前年比12%増の約1,160億ルピー(約1,856億円、1ルピー=約1.6円)となった。この半分強に当たる約617億ルピーが輸入で賄われるが、その伸び率は4%にとどまる。他方で、国内製造額(輸出含む)は23%増の約580億ルピーとなっている。インドの工作機械産業では、主要顧客である輸送機器産業の堅調な伸びを背景に、中央政府が発表した製造業振興策「メーク・イン・インディア」も後押しし、輸入依存型から国内生産型へと移行しつつある。

見本市に参加した、ある日系の工作機械メーカーは「インドでは二輪車市場の拡大に合わせて、売り上げが順調に推移している。見本市では成約につながる商談もあり、将来的には現地工場の建設も視野に入れたい」と語る。日本工作機械工業会によれば、2017年における、日系企業のインドでの工作機械年間受注総額は前年比80.2%増の374億円となった。足元では、TN州に工場を構える日系精密工作機械メーカーのツガミの生産能力拡大が報じられている。成長するインドの工作機械市場に、日系企業の熱い視線が注がれている。

(榎堀秀耶)

(インド)

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