第1四半期のGDP成長率は前年同期比5.7%、好調を維持

(ケニア)

ナイロビ発

2018年07月06日

ケニア国家統計局(KNBS)は6月29日、2018年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比5.7%と発表した。

産業別にみると、GDPの25.5%を占める農林業の成長率は5.2%となり、2017年第1四半期の1.0%を大きく上回った(表参照)。2017年の大干ばつから一転し、2018年は比較的降雨に恵まれたことで、紅茶、サトウキビの生産量がそれぞれ10.7%、17.3%増加したほか、切り花、果物といった園芸作物の輸出量もそれぞれ12.4%、15.3%増加した。

表 産業別実質GDP

ケニヤッタ大統領が2期目の重要施策の1つと位置付けている製造業(構成比9.6%)の成長率は、前年同期の1.3%から2.3%に上昇したものの、品目によっては伸び悩んだ。砂糖の生産量は前年比4.0%増だった一方で、セメントの生産量と自動車の組み立て台数はそれぞれ10.2%減、1.8%減と振るわなかった。

建設業(5.0%)の成長率は7.2%と前年同期の8.2%からやや鈍化した。首都ナイロビと沿岸部モンバサを結ぶ標準軌鉄道(SGR)が2017年5月に完成し、SGR開発がいったん落ち着いたことが要因と考えられる。セメントの消費量が8.0%減となったほか、鉄鋼などの建設資材の輸入量も前年比4.9%減となっている。

ナイロビとモンバサの国際空港の到着者数が5.8%増など、貴重な外貨獲得源であるホテル・レストラン業(1.5%)も成長率が13.5%と好調を維持した。最近は大きなテロ事件が発生していないことから、観光客やビジネスパーソンの来訪が活発になりつつある。

金融・保険業(5.9%)の成長率は、前年同期の5.3%から2.6%に鈍化した。2016年9月から金融機関の貸出金利に上限が設定されており、引き続き民間部門への貸し渋りが生じたことが影響した。6月14日にロティチ財務長官が予算案発表に併せ、上限を撤廃すると提案しており、8月の議会の審議に委ねられることになっている。

(島川博行)

(ケニア)

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