神戸港とのコンテナ輸送は増加も、国内物流は課題山積

(ベトナム)

ホーチミン発

2018年07月31日

「神戸港セミナー」が7月20日、ホーチミン市内のホテルで開催された。主催した神戸市みなと総局によると、ベトナム-神戸間のコンテナ取扱量は5年間で65%増加し、2016年には過去最高の取扱量を記録した(図1参照)。2017年は、ASEAN域内の関税撤廃を見越した自動車関連輸出の伸び悩みなどもあり下振れしたものの、足元は回復基調にあり2018年は前年を上回る取扱量も期待できる。神戸港にとってアジア地域はコンテナ取扱量の約80%を占める重要なエリアで(図2参照)、中でもベトナムへの期待は高いという。

図1 神戸港のベトナム向けコンテナ貨物の推移
図2 2017年 神戸港の地域・国別コンテナ貨物量

所要時間・コスト面で劣る物流環境

神戸港をはじめとする日本の港からベトナムへのコンテナ輸送は増加している一方、同セミナーで講演した日系物流企業関係者によると、ベトナム国内の輸送には依然課題が残るという。

陸路は所要時間が問題で、ホーチミン-ハノイ間で約70時間を要し、これはホーチミン-香港または上海間の海上輸送に等しい。航空輸送はコストが課題で、1キロ当たり1ドル強と、ホーチミン-上海間の海上輸送とほぼ同額だ。当地の物流事情に疎い日本企業から、「ホーチミンの倉庫からハノイへ輸送してほしい」という問い合わせが増えているが、所要時間や費用を伝えると驚かれるという。外資系企業の進出により貿易は堅調な一方、高速道路をはじめインフラ整備が遅れており、国内物流についてはまだ課題が山積している。

政府もこの課題を認識しており、グエン・スアン・フック首相は4月16日、ハノイで開催された「全国物流会議」において関連省庁や業界団体を前に、「物流整備は製品価格の引き下げや競争力向上につながる」と強調し、2025年に「物流パフォーマンス指標(LPI)」ランキング(注)で世界50位以内(2016年は160カ国中64位)を目指す方針を示した(「ダウトゥ」紙電子版4月17日)。

(注)世界銀行が2年ごとに公表する国別の貿易・物流の効率性ランキング。国際フォワーダーや宅配業者を対象とした定性調査と、サプライチェーンの効率性を測るデータ(時間、コスト、輸出入品に関する諸手続きなど)による定量調査に基づき、(1)通関(2)インフラ(3)コスト(4)品質(5)トレース(6)定時性という6つの項目を5段階で評価したもの。

(佐々木進伍)

(ベトナム)

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