習国家主席、首脳会談で147億ドルの支援を約束と報道

(南アフリカ共和国、中国)

ヨハネスブルク発

2018年07月31日

中国の習近平国家主席は7月24日、南アフリカ共和国の首都プレトリアでシリル・ラマポーザ大統領と首脳会談を行った。習主席は7月25~27日に南ア最大の都市ヨハネスブルクで開催の第10回BRICS首脳会議に出席するため、7月23日に南ア入りした。南ア公式訪問は2015年12月にヨハネスブルクで開催された第6回中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)に続き3回目(2015年12月18日記事参照)。

首脳会談において、習国家主席は総額147億ドルの支援を約束したと複数のメディアが報じている。支援額の内訳や、過去に中国が確約した金額が含まれているのかなど不明点が多いものの、中国は官民を挙げて南アにおけるインフラ、科学技術、農業、環境保全分野への支援を表明している。インフラについては、南アの電力公社エスコム向けの25億ドルの融資(貸出元:中国国家開発銀行、支払期間15年)、運輸公社トランスネット向けの40億ランド(約336億円、1ランド=約8.4円)の融資(貸出元:中国商工銀行、支払期間5年)が含まれているとみられる。エスコム向けの融資はメデュピおよびクシレ石炭火力発電所の建設に充てられるもようだ。

南アのロブ・デービス貿易産業相はこの支援を歓迎するとともに、中国は南アに対して計77の投資案件を通じて約110億ドルを投資しているとした(「メール・アンド・ガーディアン」紙7月24日)。これらの投資には、北京汽車(BAIC)によるクハ経済特別区での自動車組立工場の建設(110億ランド)が含まれるとみられる(2016年8月30日記事参照)。2015年のFOCACで中国は3年間で600億ドルを支援すると表明しており、これに基づいて実行された投資案件の1つだ。南ア準備銀行の2017年12月の発表によると、中国の南アへの直接投資残高は2016年末時点で前年比34.6%増の776億9,900万ランドで、国別5位だった。なお、第7回FOCACは2018年9月に北京で開催される予定だ。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、中国)

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