イスラム自治政府樹立へ、バンサモロ基本法が成立

(フィリピン)

アジア大洋州課

2018年07月30日

ドゥテルテ大統領は7月26日、イスラム教徒による自治政府樹立を認める「バンサモロ基本法」に署名した。同法の成立により、南部ミンダナオ島に設立されるバンサモロ自治政府には高度な自治が認められ、予算の立案や執行権を有する。また、バンサモロ地域内のイスラム教徒に対してはイスラム法に基づく司法制度が適用されることになる。モロ・イスラム解放戦線(MILF)をはじめとしたイスラム主義勢力との紛争の終息、和平実現に向かいそうだ。

フィリピン国民のうちイスラム教徒の割合は5%ほどとされ、イスラム主義勢力は長年にわたり政府と対立していた。このうち穏健派のモロ民族解放戦線(MNLF)とは1996年に和平合意が成立、イスラム教徒ミンダナオ自治地域(ARMM)が認められていた。一方、MNLFから離反したメンバーにより結成されたMILFとの間では和平交渉が難航していた。現地報道によれば、バンサモロ基本法の成立により、ARMMに加えて複数の州・地域がバンサモロ地域として認められることになる。

ミンダナオ島では複数の反政府勢力が拠点を有する。2017年5月にはイスラム教過激派グループのマウテやアブ・サヤフによるマラウィ市占拠事件が発生。10月にフィリピン政府軍がマラウィ市を奪還したものの、和平の実現に向けた復興計画などが焦点となっていた。

なお、ミンダナオ日本人商工会議所ウェブサイトによると、同商工会議所には正会員18社、賛助会員29社が登録している。

(渡邉敬士)

(フィリピン)

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