2019年大統領選、ヨハニス大統領が再度立候補を表明

(ルーマニア)

ブカレスト発

2018年07月10日

2019年12月に実施が予定されているルーマニア大統領選挙に向け、現職のヨハニス大統領が6月23日、再度立候補する意向を表明した。大統領の任期は5年で、同大統領は2019年12月で任期満了となる。同大統領は国民自由党(現野党)出身のドイツ系ルーマニア人で、社会民主党(現与党)のドラグネア党首に対する3年6カ月の懲役判決(2018年6月29日記事参照)が下された以降、汚職に対する姿勢を一層強めている。

ルーマニアの調査会社Sociopol(注)が6月22~26日に実施した世論調査「最も信頼できるルーマニア人」に関する各社報道によれば、ヨハニス大統領は3位の支持を得ている。支持率に関する調査結果は表のとおり。

表 「最も信頼できるルーマニア人」に関する電話調査結果(複数回答可)

最も支持率の高いアラファト氏はパレスチナ出身の医師で、ルーマニアの緊急医療に尽力してきた人物だ。2012年11月に、短期間ながら保健相を務めた経験もある。また、支持率2位のブカレスト市長のフィレア氏は元ニュースキャスターで、知名度の高さを武器に、大統領選への立候補に意欲的といわれている。

ところで、大統領選に多大な影響を及ぼすのが、在外ルーマニア人の投票動向だ。国連の「国際移民報告(2017年版)」によれば、ルーマニア国籍を持つ約360万人の経済移民が、イタリア、スペイン、ドイツ、英国などの西欧諸国に多く移住している。平均年齢は25.1歳(2017年時点)と他の欧州諸国の経済移民に比べて際立って若く、リベラルな価値観を持った層が多いのが特徴だ。2009年の大統領選では、国内の出口調査で次点だったトラヤン・バセスク大統領が在外ルーマニア人の組織票を獲得し、逆転で再選された経緯がある。また2014年には、ポンタ首相(当時)とヨハニス氏(現大統領)が決選投票までもつれ込んだ結果、在外ルーマニア人から絶大な支持を得たヨハニス氏が勝利した。

ヨハニス大統領は野党出身で、現在の内閣とは「ねじれ」の関係にある。2019年の大統領選に向け、今後、各立候補者および政党は在外ルーマニア人に対して支持訴求を強めていく見通しだ。

(注)Sociopolは、ポンタ元首相の広報担当官だったミレル・パラダ氏を唯一の株主とする調査会社で、必ずしも公平・公正な世論調査といえないとの評価もある。

(水野桂輔、ユニアナ・ミンドル)

(ルーマニア)

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