税務セミナーをハノイで開催、税務調査の指摘事例を紹介

(ベトナム)

ハノイ発

2018年07月25日

ジェトロは7月13日、「ベトナム税務最新情報及び税務対策セミナー」をハノイ市で開催した。講師はフェアコンサルティングベトナムの讃岐修治氏で、日系企業の経理担当者ら約170人が参加した。

セミナーでは、過去の税務調査において日系企業が指摘された点を基に説明があった。

法人所得税では、税務当局からの指摘に対処するため、記載金額の整合性を確認できるようにするなど、過去に申告した損金の根拠資料や契約書、VAT(付加価値税)インボイスを整備することが重要と指摘した。

また外国契約者税は、税務署から指摘されやすい項目の1つで、例えば機械設備設置のサポート契約を結んでいる日本からの出張者のパスポート情報などを、税務当局に通知する義務がある点について注意喚起した。

移転価格は最近、指摘件数と追徴金額が増加している項目だ。特に親子企業間のロイヤルティーなどの支払いについては、企業からの問い合わせが多くなっている。税務調査での指摘は、支払金額が第三者取引(資本関係のない企業との取引)と比較して妥当かどうかで、ベンチマーク(注)の作成が必要となるとしている。

また、税務調査前に自主的に修正申告を行うことにより、加算税・重加算税の徴収を未然に防ぐことが可能となることも説明された。

税務実務では、VAT還付について例示した。VAT還付は従来、「輸出活動を行っていること」「申告期間における控除可能な仕入VAT金額が3億ドン以上であること」および「還付可能なVAT金額が輸出売上高の10%以下であること」を全て満たせば還付申請が可能だったが、2018年1月31日から再輸出と見なされる活動も還付の対象となった。VAT還付を否認されるケースもみられるが、申請書類の修正、証憑(しょうひょう)や契約書の数字の齟齬(そご)に対する理由書の作成など、指摘事項に適切に対応することで還付を受けられる場合もある。

参加者アンケートでは、「税務調査対応事例の詳細な説明があり、事前準備の参考になった」「VAT還付についてよく理解できた」などの意見が多数寄せられた。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(注)親子間企業との取引と、資本関係のない企業との取引を比較する指標。

(柴田知賢)

(ベトナム)

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