上半期の自動車生産は前年同期比10%増も6月はマイナスに

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年07月11日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は7月5日、2018年上半期の自動車生産台数(大型トラック・バスを除く)が前年同期比10.0%増の24万2,655台となったことを発表した。各月の伸び率をみると、2~4月はそれぞれ前年同月比52.0%、25.2%、21.4%と大幅な伸びだった。しかし5月は3.5%にとどまり、6月はマイナス13.4%となった。

ADEFAは、5月と6月の生産台数の低迷要因として、(1)自動車部品の主要調達先であるブラジルにおけるトラック業界のストライキによるアルゼンチン国内工場への部品の供給遅れに起因する一部工場での生産停止、(2)6月14日のアルゼンチンのトラック運転手組合のストライキ、(3)同月25日のゼネストの影響を指摘している。またADEFAは、4月下旬以降の通貨ペソ急落を背景とする政策金利の大幅に引き上げ(2018年5月8日記事参照)に伴い、販売ディーラーや関連企業の資金繰りがボトルネックとなって生産低迷につながっているとの見方も示している。

さらに、史上初の年間100万台超えが期待されている販売市場も、状況が変わりつつある。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、2018年上半期の国内自動車販売台数(新車登録ベース、重・軽商用車およびその他大型車を含む)は50万500台で、前年同期比10.4%の増加となった。1月から5月にかけて前年同月比で増加を続けていたものの、6月はマイナス18.2%と急減した。製造業を牽引する自動車の生産や販売の急激な落ち込みが経済全体に与えるマイナス影響が懸念されている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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