日EU・EPA発効による影響をスイス企業は懸念

(スイス、日本、EU)

ジュネーブ発

2018年07月20日

日本政府とEUが7月17日に日・EU経済連携協定(EPA)に署名(2018年7月18日記事参照)したことを受け、スイス・日本友好議員連盟とその事務局を務めるスイス日本商工会議所(SJCC)は7月18日、2019年中の日EU・EPAの発効がスイスの輸出企業に与える影響を懸念する声明を発表した。

スイスと日本は2009年、日本にとって初の欧州地域との経済連携協定となる「日本・スイス自由貿易経済連携協定(JSFTEPA)」を締結した。同協定は、往復貿易額の99%以上の関税撤廃に加え、サービス貿易、投資、知的財産権保護など当時としては多くの分野で従来の通商協定を大幅に上回る内容を含む先進的なEPAで、日本のEPAとして初めて認定輸出者による原産地自己証明制度を導入した(2009年2月20日記事参照)。

しかし、日スイスEPAは発効から9年が経過しており、スイス連邦政府は日EU・EPAの発効により日本市場におけるスイス企業の競争優位性が損なわれる可能性があると憂慮している。スイス・グローバル・エンタープライズ(S-GE)が行った比較調査によれば、日本の市場開放努力はスイス企業にも恩恵を与えるとしながらも、農産品、工業製品、および公共調達において、一部EU企業の方が有利だとしている(表参照)。

表 日本市場においてスイス企業との比較でEU企業が優位となるとみられる分野(例)

エリザベト・シュナイダー=シュナイター・スイス・日本友好議員連盟代表(国民議会議員、キリスト教民主党)は日EU・EPAが交渉妥結に至った2017年12月、日スイスEPA見直しの検討を求める質問趣意書を連邦参事会に提出し、連邦参事会は同EPAの改定に向けて取り組むことを約束している。2018年4月にはアラン・ベルセ大統領兼内相が来日し、日本政府に対して日スイスEPAの更新を要請したが、今のところ再交渉のめどは立っていない。

(杉山百々子)

(スイス、日本、EU)

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