主要国・地域の対北朝鮮貿易、2017年は中国が突出

(中国、韓国)

中国北アジア課

2018年07月24日

米国と北朝鮮の両首脳による史上初の米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開催された。北朝鮮をめぐる情勢はこの数カ月で大きく変化しているが、ジェトロは、世界各国の貿易統計をデータベース化したグローバル・トレード・アトラス(Global Trade Atlas)を基に、主要国・地域の対北朝鮮貿易の推移をまとめた(添付資料参照)。

添付資料の表1は、中国や韓国など44カ国による対北朝鮮の貿易動向を示したものだ。2017年、中国は輸出で33億2,800万ドル、輸入で16億5,100万ドルと、44カ国中でそれぞれ95%前後のシェアを有するなど、対北朝鮮貿易で圧倒的な存在感をみせている。

中国から北朝鮮への主な輸出品目は、添付資料の表2に示すとおり、電気機器(携帯電話、映像受信機器、マイクロホンなど)、一般機械(冷凍冷蔵庫、自動データ処理機械、建設機械など)、プラスチック製品などが上位を占める。北朝鮮からの輸入については、縫製品(男性・女性用オーバーコート、男性・女性用スーツなど)、鉱物性燃料(主に石炭)、鉱石(鉄鉱、鉛鉱など)が全体の3分の2を占める。

韓国については、2015年に輸出で12億6,200万ドル、輸入で14億5,200万ドルと、中国に次ぐ貿易相手国だったが、2017年にはほぼゼロだった。北朝鮮南部の開城(ケソン)市郊外にある開城工業団地は、かつて南北経済交流の象徴といわれていたが、北朝鮮が2016年1月に核実験、2月に長距離ミサイルの発射実験を行ったことで、韓国政府が同団地の全面操業停止を明らかにすると、北朝鮮は同年2月に同団地を閉鎖した。それ以降、貿易統計から、南北間の貿易は完全に中断した状態にあることがうかがえる。

(水谷俊博)

(中国、韓国)

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