次期大統領、5,000億ペソ投じる7つの優先プログラムを発表

(メキシコ)

メキシコ発

2018年07月26日

次期大統領のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)氏は7月23日、12月1日から始まる次期政権の7つの最優先プログラムを発表した。行政府の人件費削減や政府調達の効率化などの経常的経費支出の削減により、5,000億ペソ(2兆9,500億円、1ペソ=約5.9円)を捻出し、これらのプログラムに充てる。

発表された7つの重点プログラムは以下のとおり。詳細は添付資料を参照。

  1. メキシコシティー国際空港(新空港か代替空港の拡充か)
  2. テワンテペック地峡の開発
  3. マヤ観光鉄道の建設
  4. オアハカ州とゲレロ州を中心とする300の地方道路の整備
  5. 全国インターネット網の整備
  6. 震災被害地域の復興
  7. 観光地の貧困集落への特別支援

上記7つの最優先プログラムについては、大蔵公債省(SHCP)の次期大臣と次期予算(歳出)担当次官がそれぞれ確定しているカルロス・ウルスア氏とヘラルド・エスキベル氏が中心となり、対象地域や裨益(ひえき)者、プログラム運用方法、推定投資額、財源確保の方法などを考案し、12月1日に速やかにプログラムが開始できるように調整する。

新空港建設の是非は10月末に国民投票で決定

1.のメキシコシティー国際空港については、現時点でa.連邦政府(空港公団)による新空港建設、b.民間へのコンセッション付与を通じた新空港建設、c.新空港建設の中止と代替空港(サンタルシア空軍基地)の拡充(2018年6月22日付地域・分析レポート参照)、の3つの案が存在するが、この3案について8月15日から10月15日にかけてマスコミなどの場を通じて技術的な討論会を実施し、その結果を受けて10月末に国民投票で決定するとしている(AMLO連合「共に歴史をつくろう」7月23日付プレスリリース)。

なお、7つの最優先プログラムには含まれていないが、AMLO氏は米国への移民流出を抑制する目的の北部国境地帯開発プロジェクトも重視しており、同地域では法人所得税(ISR)税率を30%から20%に引き下げ、付加価値税(IVA)税率を16%から8%に半減することが計画されている。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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