ベージュブック、シカゴ地区経済は控えめなペースで拡大
(米国)
シカゴ発
2018年07月25日
米連邦準備制度理事会(FRB)は7月18日、地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。シカゴ連銀(注)の報告によると、2018年5月後半から6月にかけて経済について、前回の緩やかな(moderate)ペースから、控えめ(modest)なペースでの拡大との認識を示した。雇用や物価などのポイントは次のとおり。
農業分野では貿易問題に強い懸念も
- 雇用と賃金:雇用は前回の緩やかなペースから控えめなペースに減速した。前回の報告と同様、全ての職種で雇用を確保するのが難しいとの報告があった。雇用確保の困難さから、製造業では事業の遅延や受注しない企業があった。賃金も全体的に控えめに上昇した。多くの企業が生産労働者の賃金上昇を報告した。
- 物価:全体的に、物価上昇は控えめだった。農業部門の事業者からは、米国と外国の関税政策に対する不確実性から価格の変動性が高まったとの報告があった。
- 個人消費:個人消費は控えめな増加だった。しかし多くの事業者が、2018年上半期の自動車販売は予想を上回ったと指摘した。
- 企業支出:企業支出は5月下旬から6月にかけて控えめに増えた。主な設備投資は、引き続き産業機器とIT機器の交換や改修によるものだった。
- 建設と不動産:建設と不動産は控えめに増えた。住宅販売はデトロイト地域で売り上げの減速を指摘する声があるものの、全体としては控えめな上昇だった。しかし、テクノロジー企業のオフィス需要は強いという。
- 製造業:工業生産の成長率は前回の力強い(strong)伸びから減速し、5月下旬から6月にかけて緩やかなペースで推移した。鉄鋼生産はエンドユーザーの堅調な需要と輸入減により、緩やかに拡大した。ある企業は、国産鉄鋼需要は過去20年で最も強いと述べた。自動車生産は控えめに増加し、堅調な水準を維持した。
- 金融:事業者向け融資の需要は、主に中小企業向けでわずかに増加し、消費者向け融資も自動車や他の耐久財向け融資の増加により、需要がわずかに増えた。よって、財務状態は若干改善した。
- 農業:大半の商品で価格が下落したため、農作物収入見通しは鈍化した。事業者らは農業分野への貿易紛争や関税の影響について、強い懸念を示した。
(注)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部を管轄。
(仁平宏樹)
(米国)
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