欧州産業界、EU米国首脳会談の外交成果を評価

(EU、米国)

ブリュッセル発

2018年07月27日

欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長の訪米および米国ドナルド・トランプ大統領との首脳会談を通じて、EU・米国の通商関係が当面、緊張緩和に向けて動き始めた(2018年7月26日記事参照)。この外交成果について欧州産業界は相次ぎ評価・安堵(あんど)する声明を発表した。

より良い貿易システム構築に向け提案の用意も

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は7月26日、「EU・米国通商関係;理性の勝利」と題する声明を発表、ピエール・ガタズ会長は「貿易紛争収束に向けたEUと米国の対応は正しいものだ」「EU・米国間の政策対話に欧州産業界としていつでも協力するつもりだ」と表明した。また、マルクス・バイラー事務総長は「WTO改革に向けた協力も極めて重要だ。われわれは効果的で時代に合ったルールに基づく公平な競争条件を求める。WTOについても議論に参加し、より良い世界の貿易システムに向けた建設的な提案を行う用意がある」と語った。

欧州自動車工業会(ACEA)も同日発表した声明で、今回のEU米国首脳会談を「建設的な対話」と評価。エリック・ヨナー事務局長は「われわれ自動車産業は貿易障壁のないビジネス環境のために最善を尽くしてきた。工業品に関する貿易障壁の撤廃・削減を目指して、EU・米国間での政策対話に着手する今回の合意は、通商摩擦の収束および貿易推進の枠組み整備に向けた正しい道程への一歩だ」とした。

また、欧州自動車部品工業会(CLEPA)のロベルト・ババッソーリ会長は「EUと米国の首脳が再び建設的な協議ができるようになったのは喜ばしいことだ」「米国のトランプ大統領から鉄鋼・アルミニウムの追加関税賦課と報復措置の問題解決について言及があったことは、われわれ自動車部品産業にとって特別な意味を持つ」として、今回の外交成果を高く評価した。さらに、EU・米国両首脳の共同声明に盛り込まれた「国際基準の形成に向けた緊密な対話推進」について、CLEPAは「車両安全性や環境性能の高い水準を維持する上で、自動車産業にとって極めて重要」と指摘した。また、停滞しているEU・米国間の包括的貿易投資協定(TTIP)の交渉再開に対する期待感もにじませた。

このほか、今回の共同声明で取り上げられた「大豆」を主要原料とする欧州配合飼料生産者連盟(FEFAC)は、「大豆の貿易拡大に向けた連携、貿易障壁の緩和のための対話推進を通じてEU・米国の通商関係強化を盛り込んだ共同声明を評価する」と発表した。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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