中国日本商会、重慶市にビジネス機会創出や計画的監査を建議

(中国)

成都発

2018年07月13日

中国日本商会は6月20日、「中国経済と日本企業2018年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、「白書」)」を発刊した。「白書」は毎年、同商会が中国各地の日系企業が直面する課題の分析および解決のための建議をまとめているもので、今回で9回目の発刊となる(2018年6月21日記事参照)。四川省・重慶市を中心とする西部地域の進出日系企業の課題、および現地政府への建議について紹介する。

日系企業の課題は品質管理の難しさ

在重慶日本総領事館によると、2018年1月現在、重慶市の進出日系企業数は159社となっている。進出日系企業に対しジェトロが行ったアンケート調査によると、今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は64.3%と、アンケートを実施した省・市の中で最高だった。一方、同地の日系企業が抱えている経営課題としては、品質管理の難しさや競合相手の台頭が挙げられる。

具体的なビジネス機会の提供を建議

同アンケート調査によれば、重慶市進出日系企業の売上高に占める内販比率の平均は8割を超えており、同市を市場として捉えている企業が多い。進出企業からは、同市における具体的なビジネスチャンスを求める声が継続的に上がっている。そのため「白書」では、同市政府に対して、ビジネスに直結する個々の市場状況やパートナー候補となる地場企業の情報発信の強化、新たなビジネス機会の創出に向けた企業間交流の場の設定と仲介などの支援を建議している。

また、2017年4月に導入された外国人就労許可の新制度で定められている年齢や学歴、就業経験などの制限事項に対し、一部の日系企業から、今後の人材派遣計画や投資計画に影響を与えかねない、と懸念する声も聞かれる。経験豊富な経営人材や優秀な技術人材を派遣できないことは、日系企業にとって現地での課題対応や内販拡大を阻害する要因になることから、これら制限にかかわらず、「白書」では円滑に就労許可が与えられるよう要望した。

さらに、製造業において、急な環境査察の実施により、サプライヤーの工場が一時的休業もしくは営業停止措置を受け、部品の供給遅延が生じたことから、安定的な操業ができるよう、計画的な監査を要望した。そのほか、日系航空会社による日本との直行便の開設などについても建議している。

(田中琳大郎)

(中国)

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