日独による規格・標準化の協力を強化

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2018年07月31日

工業規格などの標準形成を促進するドイツ規格協会(DIN)は7月18日、3Dプリンティングなどの付加製造処理に関する諮問委員会を設置したと発表した。諮問委員会は個別プロジェクトベースではなく、包括的に付加製造処理の標準化に関する案件を取り扱うほか、付加製造とそのほかの標準を担当する委員会との調整業務などを担当する。これにより、DINは付加製造分野の標準化の機能の強化を図る。

3Dプリンティングなどの技術は、ドイツの「インダストリー4.0」(注1)や日本の「ソサエティ5.0」(注2)の実現に向けて重要な技術だ。こうした新しい国際標準の主導権獲得をめぐり、主要国の国際標準化活動が活発化しており、日本でもグローバルな規格開発のニーズが高まっていた。2017年3月に国際情報通信技術見本市(CEBIT)で安倍晋三首相が紹介し、日独両政府によって署名された「ハノーバー宣言」では、両国間の新たな協力分野として、国際標準化と規制が盛り込まれた。

こうした中、日本規格協会(JSA)は2018年6月13日、DINとドイツ電気技術委員会(DKE)との協力協定を締結した。国際標準の共同開発促進で、日本とドイツがイニシアチブを取ることを目指し、国際標準の共同開発などを両国間で進める。協力協定に基づき、専門家の交流などの情報交換、セミナーやシンポジウムの共催によるベスト・プラクティスの共有を加速する。今後、サービス、社会システム、先端技術などの新しい分野に関する規格の共同開発をはじめ、国際標準化分野での協力など、幅広い分野で連携が期待される。

DIN執行役員のルディガー・マルカット氏、DKE執行役員のヨハネス・シュタイン氏とJSA理事長の揖斐敏夫氏がベルリンのDINで協定に署名した。

(注1)製造業のデジタル化を推し進めるドイツの産業政策。

(注2)人類がこれまで歩んできた「狩猟」「農耕」「工業」「情報」に次ぐ「第5」の新たな社会(Society)を、イノベーションによって生み出そうという科学技術計画のコンセプト。

(増田仁)

(ドイツ、日本)

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