食品小売り大手マグニト、ロシア郵便局内に試験出店

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年07月06日

食品小売り大手マグニトは6月28日、ロシア郵便とマグニトの主要株主である外国貿易銀行(VTB)と協力し、ロシア郵便の一部店舗内に試験出店し営業を開始した。モスクワ市、クラスノダール地方、リャザン州の3地域内の計13の郵便局に店舗を設置。マグニトにとって十分に出店できていなかった農村部へも営業エリアを拡大する。近隣に充実したスーパーマーケットがない町や村の住民にとって買い物の利便性が向上しそうだ。

店舗の品そろえは、出店スペースと郵便局の立地に応じて200~800種類。農村地域では、食料品や家庭用洗剤などの生活必需品を中心に、都市部では飲料や菓子類を中心に提供する。マグニトは農村部の顧客から商品の品ぞろえについて要望を聞き、商品選定に反映する。オリガ・ナウモワ社長は「消費者の購買行動パターンは地域によって異なる。自社が持つデータ分析に基づき、各地の需要に沿った商品を提案する。このプロジェクトによって、消費者に近い場所で多くの販売機会を獲得することができる」と述べている。

両社は物流網の相互利用も進める。まずはオランダとドイツからの貨物輸送を共同で実施し、今後はカタログを用いた郵便局員による宅配サービスも開始する。国外からの商品調達については、2018年末までの業績次第で事業の方向性を検討する。

小売業界では過剰な出店競争などで2018年に入り新規店舗の利益率が下がる傾向にある(2018年5月15日記事参照)。マグニトは郵便局内に出店することで新規出店・集客コストと物流費を抑えることができる一方、ロシア郵便も余剰人員やスペースの有効活用ができ、両者の利害が一致したかたちだ。

なお、北海道銀行などが出資する地域商社の北海道総合商事(札幌市)は2018年5月、本件に先んじてロシア郵便と協力し国内14地域2,000カ所以上の郵便局内で、日本製の洗剤や化粧品、食品などを販売する事業を開始している。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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