連邦経済エネルギー省支援でユニコーン企業が誕生

(ドイツ)

ベルリン発

2018年07月27日

ドイツ連邦経済エネルギー省は7月18日、起業環境向上のための「EXISTプログラム」(注1)やドイツのアクセラレーターと共に革新的なスタートアップを支援してきた成果として、初めて「ユニコーン企業」(注2)が誕生したと発表した。

同省はEXISTプログラムを通じ、革新的な技術から生まれるハイテク・スタートアップの起業を支援してきた。起業後は、ドイツのアクセラレーターによる国際化や市場拡大の支援サービスを提供する。この支援による成功事例が「セロニス(Celonis)」だ。

セロニスは2011年、ミュンヘン工科大学のスピンオフ・スタートアップとして、起業前の段階で、連邦経済エネルギー省のEXISTプログラムから8万3,000ユーロ以上の資金提供を受けている。当初3人で始まった同社は現在、世界で400人以上の従業員を抱えるまで成長し、「プロセスマイニング」(注3)の分野で先行する。最近の資金調達を通じて、米国ベンチャーキャピタル(VC)などから出資を受け、企業価値10億ドルとの評価を受けた。同社は、ドイツ連邦経済エネルギー省により支援された最初のIT関連のユニコーン企業となった。

EXISTプログラムによる資金調達を受け、シリコンバレーのドイツ・アクセラレーターを通じて顧客、パートナー、VCなどとネットワークを構築したことで、同社はこの分野で大企業としての地位を確立した。

(注1)大学や研究機関での起業環境促進やスタートアップに関する技術や知識の育成などを支援するプログラム。

(注2)企業としての市場価値が10億ドルを超える非上場企業。

(注3)業務における情報システムを分析・可視化し、今後の業務過程を検証、改善する技術。

(油井原詩菜子)

(ドイツ)

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