両国経済界、日メルコスールEPA早期締結の必要性で一致

(ブラジル、日本、南米南部共同市場<メルコスール>)

米州課

2018年07月27日

日本の経団連とブラジルの全国工業連盟(CNI)の主催で7月23~24日、東京都内で第21回日本ブラジル経済合同委員会が開催された。同委員会では、「貿易・投資-日メルコスールEPA」「インフラ整備」や「SDGs実現のためのイノベーションと技術」など2国間のビジネスに関する主要課題についてのパネルディスカッションが行われた。

特に、「貿易・投資-日メルコスールEPA」のセッションでは、日本と南米南部共同市場(メルコスール)間の経済連携協定(EPA)の早期交渉開始と締結を望む声が数多く聞かれた。ブラジル日本商工会議所が会員企業を中心に結成した日メルコスールEPA準備タスクフォースが、メルコスール加盟国(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)の日系商工会議所会員企業および進出日系企業348社を対象に実施したアンケート調査結果に基づき、回答企業数259社の8割超から日メルコスールEPAの「必要性を感じる」との回答があったことなどが紹介された。

また、日メルコスールEPAは、メルコスール域内で日本企業が他国・地域との競争環境で劣後しないため、さらには同EPAをベースにビジネス環境を改善するために必要との指摘があった。また、日本の通商政策においてミッシングリンクとなっているメルコスール地域との通商関係強化や、台頭する保護主義に対抗すべく、自由で開かれた経済社会構築への貢献のためにも、同EPAが必要不可欠との方向で議論がまとめられた。

上記の点を踏まえ、同セッションの最後に、「日本メルコスール経済連携協定に向けたロードマップ」と題した経団連・ブラジル全国工業連盟共同報告書が採択された。

同共同報告書は、自由貿易の推進や投資障壁の撤廃のみならず、電子商取引をはじめとする各種ルールの整備やビジネス環境向上のための法的枠組み確立など包括的、かつ質の高いEPAを念頭に置き、各国のセンシティブ分野に対してはしかるべき配慮をしつつも「(日メルコスールEPAを)早期に締結すべき」と提言している。今後は日本ブラジル両国経済界による両国首脳への提言も予定されている。同報告書の詳細は、経団連ウェブサイトで参照が可能だ。

経団連・ブラジル全国工業連盟共同報告書(英語正文)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(古木勇生)

(ブラジル、日本、南米南部共同市場<メルコスール>)

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