エネルギーはじめ多分野でイタリアとの連携を強化

(アゼルバイジャン、イタリア)

欧州ロシアCIS課

2018年07月25日

イルハム・アリエフ大統領は7月17日、アゼルバイジャンを訪問中のイタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領と会談し、両国はエネルギー、輸送分野のほか多分野での協力を推進することで一致した。マッタレッラ大統領の訪問はアリエフ大統領の招待により実現したもので、イタリアの大統領がアゼルバイジャンを訪問するのは初めて。

アゼルバイジャンとイタリアの経済関係はエネルギーが主力。アゼルバイジャンはイタリアに原油を輸出しており、最大の輸出相手国(注)だ。2018年6月に一部開通した南部天然ガス輸送路は、2020年にギリシアやアルバニアなどバルカン半島やアドリア海を経由しイタリアまで延伸される(2018年6月14日記事参照)ことから、アリエフ大統領は「エネルギー分野での協力は一層深化する」とした。さらに、資源中心の産業構造からの脱却を目指しているアリエフ大統領は「アゼルバイジャンにはイタリア企業にとって幅広い工業分野での活躍の余地がある」と述べ、イタリア企業による積極的な技術導入にも期待を表明した。これに対して、マッタレッラ大統領も「カスピ海地域とその天然ガスは欧州にとって重要であり、イタリアはアゼルバイジャンの産業の多角化を歓迎する」と語った。

アゼルバイジャンではプラント分野を中心にイタリア企業が存在感を増している。両大統領は首都バクー近郊のスムガイト化学工業団地で、アゼルバイジャン国営石油・天然ガス採掘大手ソカルの子会社ソカル・ポリマーのポリプロピレン工場の竣工(しゅんこう)式に出席した。同プラントは2018年末までに稼働の予定で、年間30万トンを生産し、うち70%が輸出向けとなる。プラント建設にはイタリアのマイレ・テクニモントが元請けとして参画する。また同じくソカル関連のエチレン・ポリエチレン工場の設備更新工事にはイタリアのテクニップ・イタリアが設計・調達・建設(EPC)事業者として携わっている。

(注)アゼルバイジャン国家統計委員会によると、2017年実績で44億ドル、シェア34.5%。

(高橋淳)

(アゼルバイジャン、イタリア)

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