首都チュニスで初の女性市長が誕生

(チュニジア)

パリ発

2018年07月12日

首都チュニスの市議会で7月3日、イスラム穏健派アンナハダのスアド・アブデラヒム氏(53歳)が初の女性市長に選ばれた。任期は5年。アブデラヒム氏は5月6日に行われた革命後初の地方議会選挙で、チュニス選挙区にアンナハダの名簿1番手として立候補。選挙でアンナハダは第1党となったが、チュニス市議会では60議席中21議席を獲得するにとどまった。同市議会議員による市長選挙の第1回投票では、アブデラヒム氏は過半数に届かず、上位2人による決選投票でエセブシ大統領が立党した国政与党ニダ・トゥーネス推薦のカメル・イディール氏を破って当選した。

アブデラヒム氏は、2011~2014年に、革命後の国会でアンナハダ議員として人権・自由委員長を務めた。学生時代には、イスラム派としてチュニジア学生総連の執行部メンバーとして活動していた。初の女性チュニス市長であるだけでなく、普通選挙で選出された市議会議員によって選ばれた初の市長。これまでチュニス市長はチュニス出身の旧家の家系から指名されてきた。南部スファックス出身であるアブデラヒム氏の当選は、旧弊の打破という側面もある。

5月6日の地方議会選挙後、全国で市町村議会が招集され7月3日時点で52人の女性市長が誕生している。比例代表方式による今回の地方議会選挙では、各政党およびグループの名簿が男女交互に構成されたことで、当選者の47%が女性となり、地方政治の男女平等化が進んだ。

アンナハダの民主化路線を反映

国政でニダ・トゥーネスと連立政権を形成しているアンナハダは、2016年中ごろから党の方針を「イスラム教指向の市民政党」と定め、政教分離を発表しており、今回のアブデラヒム市長誕生も同党の民主化路線推進の一環と見られる。一方で、首都で市長の座を逸したニダ・トゥーネスは、第2の都市スファックスでもアンナハダに敗れている。党内分裂も表面化するなど、2019年に予定される国会議員選挙への影響は否めないとみられている。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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