日系企業の賃金実態調査、2017年は昇給率が前年より上昇

(インド)

ニューデリー発

2018年07月30日

インド日本商工会(JCCII)は7月19日、ジェトロと共同で取りまとめた、「第12回賃金実態調査」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。これはインド各地の日本商工会、日本人会に所属する日系企業を対象に、日系企業で働くインド人従業員の賃金や労務に関する内容を聞くもので、毎年実施している。今回は2018年5月に調査を実施し、323件の有効回答を得た。

2017年の平均昇給率は、「スタッフ(事務・営業職)」が10.4%、「ワーカー(生産従事者)」が12.1%となり、2016年実績の10.1%、11.4%からやや上昇した。2018年の見込みは、10.2%、10.8%で昇給率はやや落ち着くとみられている。

2017年平均昇給率を地域別にみると、インド北部ハリヤナ州マネサール地域(スタッフ11.8%、ワーカー13.7%)、西部グジャラート州(スタッフ12.5%、ワーカー11.6%)、南部アンドラ・プラデシュ州(スタッフ12.2%、ワーカー11%)など、日本企業の集積や進出が進む地域で、昇給率が平均よりも高かった。

労働組合の有無(有効回答数:319件)については、「ある」との回答が24件(7.5%)だった。これらのうち、「社内組合を有している」との回答が15件、「外部組織に加盟している」との回答が9件となった。また、労働協約改定の周期については、「1年」が6件、「3年」が12件だった。

2017年の離職率は、「トップマネジメント(部長級以上)」が8.6%(有効回答数:49件)、「管理職(課長、係長級)」が9.6%(155件)、「スタッフ(セールス担当者、秘書、受付、事務員)」が11.5%(188件)、「エンジニア」が9.9%(65件)、「ワーカー」が11.5%(68件)となった。

従業員に提供している福利厚生制度について聞いた設問では、「スタッフ」(有効回答社数:315社、複数回答可)について最も普及しているのは「有給休暇」で、292件(92.7%)が採用していると回答した。以下、「医療保険」が263件(83.5%)、「携帯電話支給」が225件(71.4%)、「通勤費支給・補助」が189件(60.0%)、「医療費支給・補助」が171件(54.3%)と続いた。

「ワーカー」(有効回答社数:97社、複数回答可)については、「有給休暇」が84件(86.6%)、「医療保険」が78件(80.4%)、「通勤車・バス手配」が70件(72.2%)、「食事手当」が60件(61.9%)、「医療費支給・補助」が48件(49.5%)だった。

(古屋礼子)

(インド)

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