中国日本商会、四川省へはビジネス機会や手続き簡素化を要望

(中国)

成都発

2018年07月13日

中国日本商会は6月20日、「中国経済と日本企業2018年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、「白書」)を発刊した。四川省・重慶市を中心とする西部地域の進出日系企業の課題、および現地政府への建議に関し、四川省について紹介する。

原材料・部品の現地調達と人材難が課題

在重慶日本総領事館によると、2018年1月現在で、四川省には輸送機械器具、IT、電子関連企業を中心に370社の日系企業が進出している。ジェトロが2017年に進出日系企業に対し行ったアンケート調査によると、同年の営業利益見込みについて、四川省に進出している日系企業で「黒字」と回答した割合は前年比16.4ポイント上昇し71.0%となった。一方、「赤字」と回答した割合は25.8%で、中国全体の平均(17.3%)を上回る結果になっている。また、四川省の日系企業が抱える課題としては、調達コストの上昇や品質管理の難しさ、従業員の賃金上昇などの回答が多かったほか、特徴的な課題として原材料・部品の現地調達の難しさや人材(中間管理職)の採用難などが挙げられた。

具体的なビジネス機会の創出に向けた取り組みを要望

同アンケート調査によれば、四川省に進出している日系企業の売上高に占める内販比率は90.9%と、中国全体の平均(69.0%)に比べて高い。これら日系企業からは、内販に直結するビジネスチャンスを求める声が日々上がっている。そのため、「白書」では2018年の建議事項として、よりビジネスに直結するような市場状況やパートナー候補となる地場企業情報の発信、具体的なビジネス機会の創出に向けた情報の提供、企業間交流の場の設定などを四川省・成都市政府に対して要望している。

また、2017年4月に導入された外国人就労許可の新制度で定められている年齢や学歴、就業経験などの制限事項に対し、一部の日系企業から、今後の人材派遣計画や投資計画に影響を与えかねない、という懸念の声が聞かれた。日系企業にとって、経験豊富な経営人材や優秀な技術人材を派遣できないことは、現地での課題対応や内販拡大を阻害する要因になることから、「白書」ではこれらの制限にかかわらず、円滑に就労許可が与えられるよう建議した。

さらに、駐在員の異動に関する問題として、着任後の手続きが複雑なことや、銀行口座の開設に時間がかかり、この間の経理処理や日常生活に支障を来たしていることから、着任後の手続きの簡素化や銀行での手続きの緩和について要望した。そのほか、工業団地内での電力・天然ガスの安定供給や、危険廃棄物処理業者の拡充・処理能力の改善などについても建議を行った。

(田中琳大郎)

(中国)

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