プーケットで観光船沈没、懸念される観光への影響

(タイ)

バンコク発

2018年07月26日

プーケットで7月5日、中国人観光客89人を乗せた観光船が沈没し、そのうち47人が亡くなった。2017年にタイを訪れた外国人観光客(約3,538万人)のうち中国人は980万人と全体の約28%を占めており、観光業界は悪影響を懸念している。

事故を受けてプーケットでは、中国人観光客のキャンセルなどの影響が出始めている。南部ホテル協会のコンキアット会長は、加盟している19のホテルで7,300室以上のキャンセルが発生し、損害額は700万バーツ(約2,310万円、1バーツ=約3.3円)に上ったとした上で、「事故の影響はホテルだけにとどまらず、シャトルサービスや観光船、地元の土産物店などにも悪影響をもたらす」と述べた。南部の観光業界は中国人観光客への依存度が高いといわれており、プーケットにとってかき入れ時となる10月の中国の国慶節前に事態が終息するよう、タイ政府は対応を急いでいる。

事故責任の所在について問われたプラウィット副首相が「一部の中国人経営者がタイ人の名義を借り、連れてきた中国人観光客に対して起こした事故だ。彼らが気象警報を無視したことが事故の発生した原因だ」と発言したことから、一部の中国メディアが反発し、悪影響に拍車を掛けた。その後、プラウィット副首相は「不快な思いをさせたなら謝罪したい」との発言に追い込まれたほか、プラユット首相も現地を訪れ、中国人負傷者を見舞い、犠牲者1人当たり100万バーツの補償金を支払うといった異例の決定を行うなど、対応に追われた。

観光船はタイ人名義の所有だったものの、実際は中国人により運営されているといわれている。また、事故当日は大雨と強風で海上は大荒れで、当局の警報を無視してしたものとみられている。

(阿部桂三)

(タイ)

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