カナダ銀行、政策金利を1.5%に引き上げ

(カナダ)

トロント発

2018年07月17日

カナダ銀行(中央銀行)は7月11日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.50%にすると発表した。今回の金利引き上げは、関係者が広く予想していたもので、2017年7月に利上げに転じて以降、4回目の引き上げとなり、現在の政策金利は直近の9年間で最も高い水準になった。翌日までに、カナダの主要銀行は貸出金利を3.45%から3.70%に引き上げることを発表した。

カナダ銀行は利上げについて、カナダ経済が好調を維持していることを要因に挙げている。家計支出が金利の上昇や、住宅ローン貸し出しに厳しいストレステストを課したことにより減速していることを認めつつ、最近の住宅市場のデータは、2018年当初の景気の低迷から安定化の兆しがみられるとの見方を述べている。輸出は、力強い世界需要と資源価格の高騰により活気づいており、堅調な需要の伸びを反映した投資も増加しているが、通商面での緊張が一部のセクターへの投資を圧迫していると指摘している。

カナダ銀行は2018年から2020年にかけて平均2%の経済成長を見込んでいるとし、インフレ率がカナダ銀行が目標に掲げる2%に近づいていることを指摘しながら、今後も少しずつ政策金利を引き上げていく意向を示している。

カナダ銀行が今回発表した経済予測は、鉄鋼とアルミニウム製品に対する米国の輸入関税とそれに対するカナダ側の報復関税措置の影響を織り込んでおり、これらの措置への対応が難しい産業もあるが、カナダ全体の経済成長とインフレに与える影響は大きくないと予想している。

トロント・ドミニオン銀行エコノミストのブライアン・デプラット氏は、カナダ銀行が、特に貿易紛争を注視しながら、経済に害を与えないように引き続き慎重に、利上げを行っていくだろうと予想している。また、2018年後半にもう一度、政策金利の引き上げが見込まれるが、市場では、利上げの時期は9月ではなく、2018年末との見方が多いとの見解を示した(CBCニュース7月11日)。

(伊藤敏一、シェイマス・フレイム)

(カナダ)

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