深センと西安に「一帯一路」国際商事裁判所を設立

(中国)

広州発

2018年07月05日

中国共産党中央委員会および国務院は6月27日、「『一帯一路』国際商事紛争解決システムと組織の設立に関する意見」(以下、「意見」)を発表した。「意見」は「一帯一路」構想に関する国際協力を促進するため、商事紛争を法にのっとり解決し、国内外の当事者の合法的権益を平等に保護することを目的とする。また、公平・公正なビジネス環境をつくり、「一帯一路」建設とハイレベルな貿易・投資の自由化・利便化、開放型の世界経済構築のために、より有効な司法サービスを保証することを目指す。

「一帯一路」に関する商事紛争を審理

「意見」では広東省深セン市に第一国際商事裁判所、陝西省西安市に第二国際商事裁判所を設立し、「一帯一路」に関係する国・地域をまたいだ商事紛争を扱うことが盛り込まれた。両裁判所は6月末に設立される予定で、最高裁判所の民事第4法廷が調整・指導を担当する。

両市が選ばれた理由として、最高裁判所民事第4法廷の張勇健廷長は、深セン市は香港に隣接し、周辺の広東・香港・マカオグレートベイエリアを含め渉外案件が多いことと、「21世紀海上シルクロード」の経済上の重要地点であることを考慮したと述べ、西安市については古代シルクロードの起点の1つであり、中東欧との経済活動が増加し紛争も増えている点を挙げた。西安市は「一帯一路」における「シルクロード経済ベルト」の中心都市の1つとして、中東欧との関係が緊密化している。

国際的な商事紛争の仲裁も強化

「意見」には国際商事専門家委員会の設立も盛り込まれている。同委員会は国・地域をまたぐ商事紛争について、当事者の求めにより調停を行う。委員には「一帯一路」沿線国など国内外の専門家・学者を登用し国際性、中立性、専門性を有する組織となる。第一、第二国際商事裁判所が案件審理の過程で外国法を適用する必要がある場合、いかに適用すべきかについて専門家として意見を提出する。

また同委員会は、条件を備えた国内の仲裁機構が「一帯一路」に関する国際商事仲裁を行うことを支援し、「一帯一路」関係国と仲裁機構が共同で仲裁システムを構築することなどを奨励する。両国際商事裁判所は財産保全、証拠保全などの支援を行う。

(河野円洋)

(中国)

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