人民銀、現金支払いへの対応を原則義務付け

(中国)

広州発

2018年07月19日

中国人民銀行(中央銀行)は7月13日に2018年第10号公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、あらゆる組織・個人に対し、原則的に現金支払いへの対応を義務付けるとした。

中国では「WeChatペイ」「アリペイ」などモバイル決済の普及により、現金支払いを拒否する店舗が増加している。報道によれば、1年間で約3割の消費者が現金支払いを拒否された経験があるとされる(「新華網」7月13日)。

中国人民銀行は「観光地、レストラン、小売店などでの現金支払い拒否により、人民元の法定通貨としての地位や、消費者が支払い方法を選択する権利が損なわれている」とし、規制に乗り出した。

ネット店舗や無人販売店は対象外

公告では、原則として現金支払いへの対応を義務付ける一方、「法律に基づき、非現金支払い手段を使用すべき場合は除外する」とし、ネット店舗や無人販売店などは対象外としている。具体的には「自発的、平等、公平、誠実な協議に基づき、インターネットなどの情報ネットワークや無人販売により商品・サービスを提供し、法的義務を履行し、かつ現金受け取りの条件を備えていない場合は、非現金支払い手段を使用できる」と規定している。

「キャッシュレス」も規制

また、銀行や金融機関が個人・組織に対し、現金での支払いを拒否することや現金に対する差別的措置を誘発することを禁止している。また、非現金支払い手段の普及に当たり「キャッシュレス」をうたうことも規制する。

公告では1カ月以内の改善が求められており、それ以後に違反があった場合は人民銀行が関連機関と共同で取り締まりを行うとしている。人民銀行は規制を強化する一方で「現金を含む各種支払い手段のルール化が目的であり、支払い行為、業界の発展、技術イノベーションなどに対して偏った影響を与えるものではない」としている。

(河野円洋)

(中国)

ビジネス短信 14cc5a257c62d01c