ジェトロと国連開発計画、ASEANスマートシティー化で協力

(シンガポール)

シンガポール発

2018年07月11日

ジェトロと国連開発計画(UNDP)は7月8日、シンガポールで開催の世界都市サミットで、アジア大洋州地域での持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた協力覚書(MOU)に署名した。協力の第1弾として、ジェトロとUNDPはシンガポールが2018年のASEAN議長国として提案した域内26都市を対象とするASEANスマートシティネットワーク(ASCN)の構築を支援していく。

ASCNは4月開催の第32回ASEAN首脳会合において、シンガポールが提唱したイニシアチブ。シンガポールは議長国としての具体的な成果として2018年に構築することを目指している。域内の都市それぞれが抱える環境や交通渋滞などの課題を、最新テクノロジーを活用して解決することで、市民の生活改善と新たなビジネス機会の創出を目指す。同ネットワークにはシンガポールやベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナン、インドネシアのジャカルタ、バニュワンギ、マカッサルなどASEAN域内の26都市が参画し、実証実験を行う(2018年5月8日記事参照)。

UNDPのネットワークと日本企業のノウハウ活用

同MOUは、ASCN開発を支援する外部パートナー間の協力MOUの調印式で、ビビアン・バラクリシュナン外相の立ち合いの下、ジェトロの佐藤百合理事とUNDPのバレリー・クリフ・アジア太平洋地域副局長が署名した。ジェトロがUNDPとMOUを取り交わしたのは初めて。

写真 MOU署名の記念撮影に応じる佐藤理事(左から2人目)とクリフ・アジア太平洋地域副局長(左から3人目)(ジェトロ撮影)

アジア大洋州地域の都市が抱える交通渋滞や環境などの課題を、日本の民間企業やスタートアップ、地方公共団体の技術やノウハウを活用して解決を目指すというもの。UNDPは都市と民間セクターを結び付けるマッチングプラットフォームを持つ。一方、ジェトロはセミナーなどの開催を通じて、域内の都市が求めるニーズやビジネス機会を日本の民間企業や自治体などに周知させるための広報を行う。

佐藤理事は記者会見で、「ジェトロは日本の民間企業、地方自治体の豊富なネットワークやイノベーションのシーズ(種)へのアクセスがある。一方、UNDPはASEAN域内の地元当局のニーズを広く認知している」と述べ、「MOUを通じてジェトロとUNDPが(イノベーションの)種と(地元の)ニーズをマッチングする効果的な場を提供できると信じる」と強調した。

また、ASCNの26の実証実験都市の代表者や政府関係者が一堂に会する初めての公式会合も同日、シンガポールで開催された。5月にはシンガポールで26都市の代表者が参加してスマートシティー統治ワークショップ(SCGW)が開催され、2025年までの26都市のスマートシティー化に向けたアクションプランの策定作業が行われており、これらは11月開催のASEAN首脳会議で承認される予定。

(蒲田亮平、本田智津絵)

(シンガポール)

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