6月のインフレ率は前月比3.7%、ここ2年で最高に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年07月19日

国家統計センサス局(INDEC)は7月17日、6月の消費者物価指数上昇率(インフレ率)が前月比3.7%、前年同月比29.5%になったと発表した(表参照)。前月比では過去2年間で最も高い数値となった。また、2018年上半期のインフレ率は前年同期比16.0%となり上昇傾向が止まらない。

表 2018年6月の産業分野別インフレ率

インフレ率を産業項目別に前月比でみると、「交通」5.9%、「食品・飲料(酒類を除く)」5.2%の上昇が目立つ。特に後者に関しては、2018年に入り小麦、卵、レタスといった食品の値上がりが激しい。2017年末時点で340ペソ(約1,400円、1ペソ=約4.1円)で11品目(牛肉1キロ、タマゴ1ダース、砂糖1キロ、牛乳1リットル、鶏肉1キロ、漂白剤1,000cc、ジャガイモ1キロ、フランスパン1キロ、小麦1キロ、コメ1キロ、パスタ500グラム)を購入できたが、この半年でフランスパン、小麦、コメ、パスタを除く7品目しか買えなくなったと報じている(「ラ・ナシオン」紙7月17日)。インフレの高進が国民に与える影響は大きく、民間調査会社のダレッシオとベレンシュタインによれば、経済情勢の中で心配なテーマとしてインフレを挙げる人が、2017年5月には74%だったのが2018年6月には91%になっているという(複数回答可)。

政府は景気の下降局面から反転させるため、為替の安定とともにインフレ抑制を強調する。政府が6月にIMFに提出した「実務覚書(Technical Memorandum of Understanding)」では、2018年末時点のインフレ率を、27%を中央として上下5%のバンド制の目標にしている。しかし、中央銀行が発表した現地の民間エコノミストによる最新の経済見通しの集計値(REM)によると、2018年末のインフレ率の見通しは30.0%で、32%の上限に迫る予測値となっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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