産業人材育成を支える工業専門学校

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2018年07月23日

ミャンマーへの投資を検討している日本の企業および進出日系企業にとり、頭の痛い問題の1つが人材確保だ。特に技術者の採用が難しいという。この悩み解決の一端を担う存在として、工業省傘下の工業専門学校がある。

工業省企業連携局は、国内産業の発展を担う熟練技術者の需要増に対応するため、工業専門学校を全国に6校有しており、毎年1,000人ほどの卒業生がいる。これまで高卒学生を対象に1年間のカリキュラムを組んでいたが、技術習得レベルを国家技術者標準に合わせるため、2018年度から2年制を取り入れる工業専門学校も出てきた。専門コースとして、機械工作、金型・工具製作、自動車整備、電気、電子、鋳型製作、機械製図、CAD/CAM、溶接、CNC操作、熱処理、鋳造などをそろえている。また全寮制のため、起床・朝礼から就寝まで規則正しい生活を送っており、規律が身に付くのも魅力といわれている。

工業専門学校は、もともとは国営工場のための技術者養成機関だったが、民政移管後の国営工場の民営化や操業停止により、国営工場では卒業生を受け入れることができなくなった。同省によると、現在はほぼ100%の卒業生が民間企業に就職しているようだ。ミャンマーに進出している日系企業の間では、これまで工業専門学校の存在はあまり知られていなかったが、最近少しずつ認知度が上がり始めている。同校の卒業生を2年連続して採用したり、採用選考を進めていたり、また新たに採用を検討したりしている日系企業が出てきているという(同省担当者)。工業専門学校の卒業生が日系企業の技術者不足を補い、同時にミャンマーの産業発展に寄与していくことが期待されている。

(草苅貴)

(ミャンマー)

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