障害者雇用を義務化、従業員200人以上の企業が対象
(チリ)
サンティアゴ発
2018年06月05日
チリで、障害者雇用機会均等法(20422号、2010年10月2日官報掲載)の修正案として、障害者雇用促進法(21015号、2017年6月15日官報掲載)が2018年4月1日に施行された。これにより、200人以上の従業員がいる民間企業および100人以上の職員を有する公的機関は全体雇用者数の1%以上の障害者雇用が義務化された。
2019年4月からは100人以上の企業に拡大
2019年4月からは100~199人までの企業も本措置の対象に加わる。ただし、専門的な職種の場合、障害者を雇用している企業と業務委託提携している場合、規定された団体に寄付を行っている場合などは一部例外となる。
業務委託をする場合、障害者1人当たりの年間契約額は最低月額賃金(注1)24カ月分〔662万4,000ペソ(約112万6,000円、1ペソ=約0.17円)〕以上でなければならならず、直接雇用する障害者数と委託先で雇用される障害者数を合わせて労働者総数の1%に達すればよいと規定されている。
また、法19885号第2条(2003年8月6日官報掲載)に規定されている団体、企業、財団のプロジェクトやプログラムに寄付を行う場合、寄付額は企業が雇用しなければならない障害者数分で、1人当たり年間最低662万4,000ペソ、最高は最大課税限度額の12倍(2018年は939.6UF、注2)と定められている(法3500号、1980年11月13日官報掲載)。なお、罰金は200人以上の企業が3~60UTM、それ以下が2~40UTM(注3)となっている。
企業は、労働局、社会開発省社会評価次官官房、障害者庁、国税庁に対し、労働者総数と契約しなければならない障害者数、現在の障害者の契約数を毎年1月に報告しなければならず、法の順守ができない理由がある場合も、同様に上記機関に報告しなければならない。また、企業は障害者と雇用契約締結後15営業日以内に労働局のウェブサイトにその旨を登録しなければならない。
障害者の雇用形態は雇用側に委ねられているが、週45時間を超える労働、週5日未満あるいは6日を超えて配分することの労働、1日に10時間を超える労働、の禁止が労働法(2003年1月16日官報掲載)で定められている。
(注1)最低月額賃金は27万6,000ペソ、日本円で約4万6,920円(1ペソ=約0.17円換算)。
(注2)1UFは約2万7,036ペソ。UF:消費者物価指数の変動率に応じて調整されるインデックス。Unidad de Fomentoの略。
(注3)1UTMは4万7,396ペソ(5月時点)。UTM:月間課税単位(Unidad Tributario Mensual)を意味し、2カ月前の消費者物価上昇率に応じて毎月改定される。
(岡戸美澪)
(チリ)
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