AIを経済成長の牽引役として期待

(中国)

上海発

2018年06月05日

「2018世界製造業大会」が5月24~27日に安徽省合肥市で開かれた。主催者には国連工業開発機関(UNIDO)や地元の安徽省ほか、ドイツ産業連盟(BDI)も名を連ねた。製造強国を目指す「中国製造2025」とドイツの「インダストリー4.0」の融合と協力活動の一環だ。国務院が2017年7月に公布した「次世代人工知能発展計画」では、人工知能(AI)を経済発展の新たな牽引役とし、2030年までに理論や技術、応用などの分野で世界一を目指している。

JACとVWの新EVが9月にも市場に

同大会会期中の5月25日、中堅自動車メーカー安徽江淮汽車(JAC)とドイツのフォルクスワーゲン(VW)は新ブランド車「SOL(思皓)」のラインオフ式を実施した。「SOL」はAIやコネクテッドカー(注1)機能を備える電気自動車(EV)で、9月にも市場に投入される予定だ。

同大会にはAIを搭載・活用した製品、ソリューションが多数出展された。安徽省の自動車メーカーの奇瑞汽車は自動運転車の体験コーナーを設けた。奇瑞汽車はスマート化を進めており、体験コーナーでは自動で駐車や信号認識などを行う技術をPRした。

アイフライテック(科大訊飛)は音声プラットフォームを発表した。同社は安徽省にある中国科学技術大学から生まれた産学連携のベンチャーで、音声合成や自然言語処理などの分野で中国をリードするAI企業だ。

アイフライテックの劉慶峰・董事長は講演で、「プラットフォームの利用者は45億人に達し、AIによる音声翻訳も33言語まで対応している」と述べ、「AI時代の競争は産業チェーンや産業集積における競争であり、音声認識のヒューマン・コンピュータ・インタラクション(注2)における重要性がますます高くなっていく」と強調した。

なお、アイフライテックは、科学技術部が2017年11月に発表した、4つの国家次世代AIイノベーションプラットフォーム(表参照)で、プラットフォームの主導企業として中国のインターネット業界を代表するアリババや百度(バイドゥ)、テンセント(騰訊)とともに選ばれている。

表 科学技術部から指名されたAIプラットフォーム

(注1)インターネット通信技術を搭載した車で、車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することができる。

(注2)人間とコンピュータ、あるいは人間と機械の接点における相互作用を意味する。

(劉元森)

(中国)

ビジネス短信 f7f5d7a047166f31