オンタリオ州議会選、進歩保守党が15年ぶり政権奪還
(カナダ)
トロント発
2018年06月12日
任期満了に伴うオンタリオ州議会選挙(定数124)が6月7日に実施され、与党のオンタリオ自由党(党首:キャサリン・ウィーン州首相)は改選前の55議席から7議席へ大幅に議席を減らした。政党要件(議席数8)も下回る歴史的な惨敗となった。ウィーン首相は当選したものの、チャールズ・ソーサ財務相ら、主要閣僚が次々と落選。ウィーン首相は敗北の責任を取り、党首を辞任した。
一方、オンタリオ進歩保守党(党首:ダグ・フォード氏)は、改選前の27議席から76議席へ大幅に議席を増やし、過半数の議席を獲得し、15年ぶりに政権を奪還した。オンタリオ新民主党(党首:アンドレア・ホーワス氏)も、改選前の18議席から40議席まで伸ばし、野党第1党の立場を確保した。投票率は58.04%で、1999年以来の高さとなった。
大衆迎合的公約で支持取り込む
州首相になる進歩保守党のフォード党首は元トロント市議会議員で、ロブ・フォード前トロント市長の兄でもある。2018年初頭にパトリック・ブラウン前党首がスキャンダルで辞任したことを受け、州議会選挙直前に実施された党首選挙で勝利し、党首に就任した。フォード党首は、中間層向けの所得税や法人税の減税と炭素税の廃止、電気・ガソリン料金の引き下げなど大衆迎合的な公約を掲げ、長年続いた自由党政権に対して変化を求めた有権者の支持を取り込んだ。政党の中で唯一、選挙綱領で財政計画を公表していなかったが、選挙結果に与えた影響は軽微だった。
自由党は、選挙戦開始直後から劣勢が伝えられ、世論調査の支持率では進歩保守党、新民主党に次ぐ3位に低迷し、ウィーン首相は選挙戦終盤に敗北宣言をしていた。新民主党は選挙戦中盤の世論調査では進歩保守党に迫る支持を得ていたが、1995年以来の政権獲得には至らなかった。
(伊藤敏一、シェイマス・フレイム)
(カナダ)
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