カナダ太平洋鉄道、2組合と労使交渉暫定合意
(カナダ)
トロント発
2018年06月01日
カナダ太平洋鉄道(CP)は5月30日、同社の機関士およびエンジニア約3,000人が所属する鉄道労働組合(Teamsters Canada Rail Conference:TCRC)との労使交渉が暫定合意に達したと発表した。CPは、TCRCおよび別の国際電気工組合(International Brotherhood of Electrical Workers:IBEW、CPの鉄道信号保安作業員約360人が加入)と労使交渉を行ってきていた。
ストライキ長期化を回避
両組合はCPの提案に対してそれぞれ5月25日を締め切りに組合員の投票を行ったが、いずれも否決されたため、両組合は翌26日、CPに対し5月29日午後10時(東部時間)からストライキに入ることを通知していた。IBEWはスト開始直前にCPと暫定合意に達ししたため、ストライキを回避したが、TCRCは予定どおりストライキに突入していた。スト突入後も、CPとTCRCによる交渉は、政府の仲裁人を交えて行われていた。TCRCは「今後数カ月のうちに暫定合意された内容を認めるか、組合員による投票が行われる」と発表した。また、カナダ国内各地の時間帯(注)で5月31日午前6時までに、通常のオペレーションに戻るとの見方を示した。
カナダ国内の東西をつなぐ鉄道コンテナ輸送は、CPとカナディアン・ナショナル鉄道(CN)の2社が担い、このうちCNはカナダの国際複合一貫輸送の約7割を占めるとされている。一方、CPは2017年7月に川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が定期コンテナ船事業を統合し設立したOcean Network Express(ONE)と連携し、カナダ国内の鉄道コンテナ輸送も手掛けていることから、ストライキが長引くとCPを利用する日系企業にも影響がおよぶ可能性が懸念されていた。
(注)カナダは国内に標準時間が6つあり、最大4時間半の時差がある。
(伊藤敏一)
(カナダ)
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