EUの対米報復関税、第1弾は6月22日発動

(EU、米国)

ブリュッセル発

2018年06月21日

欧州委員会は6月20日、EU原産の鉄鋼・アルミニウムに対する米国の追加関税賦課に対する報復措置を発動するための規則を採択した。6月22日に措置を発動し、EUとしてWTOに通告している対象リスト掲載の品目(米国産品、2018年5月21日記事参照)のうち、まずは28億ユーロ相当について追加関税を課すことになる。EU加盟国は欧州委の方針に支持を表明しているという。

交渉の余地に含みも

EUの報復措置の対象は鉄鋼・アルミニウムにとどまらず、農産品など広範な米国産品を含む。欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は「(EUとしては)これらの措置発動は避けたかった。しかし、米国の不当で一方的な追加関税賦課決定の結果、ほかに選択肢がなくなった」と嘆いたが、同時に「米国が追加関税措置を撤回すれば、われわれも措置を撤回することになるだろう」と語り、交渉の余地が残されていることを示唆した。

EUは米国の追加関税賦課によって損害を被るEU原産の鉄鋼・アルミニウム輸出は64億ユーロ相当とみており(2018年6月7日記事参照)、この報復の第1弾として、28億ユーロ相当の米国産品の対EU輸出に追加関税を課す。そして、今後の状況に応じて、残りの36億ユーロの対EU輸出についても追加関税賦課に踏み切ることも想定しているとしている。

(前田篤穂)

(EU、米国)

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