米国がZTEに対する制裁解除へ、と中国側も報道

(中国、米国)

北京発

2018年06月11日

新華網(6月7日)によると、米国のウィルバー・ロス商務長官は、中国の大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)への制裁に関して、同社と和解が成立したと発表した。報道によると、制裁の解除の代わりに、ZTEは10億ドルの罰金を支払うとともに、4億ドルを預託する必要がある。

米商務省は2018年4月、ZTEが米国の経済制裁法と輸出規制に違反してイランと北朝鮮に通信機器を輸出していた問題に関して、2025年3月13日まで同社の「輸出特権(export privilege)」を否認すると発表していた(2018年4月20日記事参照)。「輸出特権」の否認により、ZTEによる米国製品の米国からの輸出と同社に向けた米国製品供給が禁止されることから、米国半導体企業などからの基幹部品の提供が滞り、同社は主要な営業活動を停止する事態に陥っていた。

報道では、ZTEが多くの米国企業と密接な協力関係にあり、同社の救済は実際のところ米国企業の利益を保持するもので、これがトランプ政権の今回の決定の重要な要素だとの見方を伝えている。

米中間の貿易制限措置をめぐっては、6月2~3日に、ロス商務長官が訪中し、3回目の経済貿易協議が開催された(劉鶴・副首相らが対応)。農業やエネルギーなどの分野での良好な交流を通して、前向きかつ具体的な進展を遂げたとされた一方、詳細は両国で最終確認を取る必要があると伝えられていた(新華網6月3日)。1回目の協議後、商務部スポークスマンが、同協議において中国側がZTEの案件を交渉し、米国側がこれを重視して大統領に報告すると発表はしていたものの、2回目と3回目の協議後にはZTEに関する内容は明らかにされていなかった。ここへ来て、大きな前進をみせたかたちだ。

今後は、トランプ政権が1974年通商法301条に基づく対中関税賦課の最終的な対象品目リストを6月15日に公表するか否かが注目される(2018年5月30日記事参照)。ちなみに、3回目の協議後の前述の新華網の報道では、米国が関税引き上げなどの貿易制裁を導入すれば、両国が交渉した全ての経済・貿易合意は効力を失うとしている。

(宗金建志)

(中国、米国)

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