米政府、ロシア関連の5企業・団体と3個人を制裁対象に追加
(ロシア、米国)
欧州ロシアCIS課
2018年06月13日
米財務省は6月11日、ロシア企業・団体と関連企業、ならびにその関係者計5団体と3個人を追加制裁対象として特別指定国民(SDN)リストに追加した。ロシア連邦保安局(FSB)と協力して、サイバー攻撃や通信用海底ケーブルを経由した情報収集を行ったことを理由としている。対象者・団体が米国内で所有する資産は凍結され、同国内での取引が禁止される。今回新たに制裁が科されるのは、以下の企業・団体と個人。
企業・団体は次のとおり。
- DIGITAL SECURITY(法人所在地:モスクワ、サンクトペテルブルク)
- ERPScan(ロシア、オランダ、チェコ、イスラエル。DIGITAL SECURITY子会社)
- EMBEDI(ロシア、イスラエル。DIGITAL SECURITYが経営権を持つ関連企業)
- DIVETECHNOSERVICES(サンクトペテルブルク。潜水用品メーカー)
- KVANT SCIENTIFIC RESEARCH INSTITUTE(サンクトペテルブルク。通信関連)
個人は次のとおり。
- アレクサンドル・トリブン氏:DIVETECHNOSERVICES社長
- オレグ・チリコフ氏:同社プログラムマネジャー
- ウラジミル・カガンスキー氏:同社の所有者
今回の制裁対象となったDIGITAL SECURITYはウェブサイトで自社について、ズベルバンクやガスプロムバンク(銀行)、フォスアグロ(肥料製造)、シブール(化学品製造)、キウイ(電子決済サービス)などの業界大手企業、コメルツ銀行、ライファイゼン銀行、ウズベキスタン対外経済活動銀行(NBU)などの外資系金融企業など、幅広い分野に顧客を持つIT企業と記載している。
ムニューシン米財務長官はこれらの団体・個人について、「FSBとの協力によりロシアのサイバー能力と海底(ケーブル監視)能力の向上に直接寄与し、米国とその同盟国の安全を危機にさらした」と指摘。ロシアによるサイバー攻撃の例として、2017年6月に世界でまん延したランサムウェア「ノットペーチャ(NotPetya)」、米国のエネルギー網への侵入、ネットワークインフラ攻撃などを挙げた。また、ロシア政府が海底ケーブル監視に関与し、世界の通信データを収集していると批判している。
(市谷恵子、高橋淳)
(ロシア、米国)
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