政府、バンクーバー港のインフラ整備に1億6,700万Cドルを拠出

(カナダ)

トロント発

2018年06月29日

カナダ連邦政府のマルク・ガルノー運輸相は6月22日、バンクーバーの港湾インフラの改善やバンクーバー港南岸の鉄道インフラの能力向上などの3事業計画に対し、全国貿易回廊基金(NTCF)から1億6,700万カナダ・ドル(約139億円、Cドル、1Cドル=約83円)を拠出すると発表した。

バンクーバー・フレーザー港湾局が主導する2つの事業計画では、鉄道用トンネルの換気システムの改善や貨物線の軌道・側線敷設、道路や渡線橋の新設・拡張などが予定され、1億4,450万Cドルが拠出される。カナダディアン・ナショナル鉄道(CN)が主導する事業計画では、2,250万Cドルを拠出して、バンクーバー市内の既存の貨物線に並行するかたちで4.2キロにわたって軌道を増設し、貿易量が増加する中でバンクーバー港南岸の物流を下支えする。

バンクーバー港は、カナダと日本、中国、韓国などのアジア諸国や米国を結ぶ重要な港で、同港の貨物取扱量は北米で3位、カナダでは1位の規模を誇る。バンクーバー・フレーザー港湾局によると、2017年は過去最高となる1億4,210万トンの貨物取扱量を記録しており、この数字は、カナダ2位の取扱量のモントリオール港の約4倍となっている。今後も、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が発効すれば、バンクーバー港での貨物取扱需要が伸びると期待されている。

今回の発表について、在カナダの日系物流会社からは「今回の事業は長期的には良いことと思うが、短中期的には工事によって物流が妨げられ、遅れが発生することを懸念する」との声が聞かれた。また、別の日系物流会社は「冬は天候の影響を受けやすく、コンテナが滞留しがちだが、今回の事業により、どの程度改善が見込まれるかは不明。港そのもののインフラ整備だけではなく、接続する鉄道会社の路線や運行本数を充実させる必要がある」と指摘した。

(伊藤敏一、シェイマス・フレイム)

(カナダ)

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