法人口座開設の拒否の割合は5%以下に低下

(香港)

香港発

2018年06月15日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)財経事務・庫務局の陳浩濂副局長は5月30日、企業が香港の銀行での法人口座を開設する際、開設を拒否された割合は5%以下となり、2016年初めの10%と比べ改善していることを明らかにした。同日に開かれた香港立法会(議会)で、法人口座の開設状況などに関する梁継昌議員からの質問に書面回答したもの。

約9割の企業が1カ月以内に口座開設を完了

陳副局長の報告によれば、香港のリテール銀行が開設する法人口座数は月平均で約1万口座。そのうち、中小企業とスタートアップ企業による口座開設申請が6~7割を占める。なお、約2,000口座は海外のスタートアップ企業と中小企業の口座となっている。口座開設の事例のうち、約9割が申請日から1カ月以内に開設手続きが完了している。全体の申請のうち5~6割は2週間以内に完了し、2~3日以内に手続きが完了したケースもあるという。

また、陳副局長は、2016年9月から2018年4月までの20カ月間で、香港の金融機関監督当局である香港金融管理局(HKMA)に寄せられた法人口座の開設を拒否されたとする苦情は40件で、主に貿易や金融サービスに従事する企業であること、うち11件はその後の銀行による再審査を経て適切に口座が開設されたことを明らかにした。

HKMAも口座開設の円滑化に向けた取り組みを強化

ここ数年、国際社会がマネーロンダリング(注1)やテロ資金供与への対策を厳しくする中、世界中の金融機関が顧客管理プロセスを強化している。香港でも法人口座が開設できないとする企業の声が多く上がっている。こうした状況を踏まえ、HKMAは2017年3月には、銀行および銀行利用者向けの専用ウェブページ(注2)を開設するなど、口座開設の円滑化に向けた取り組みを強化している。

(注1)資金洗浄ともいう。犯罪などで得た収益を、犯罪との関連を不明瞭にするために移動または隠匿する行為。

(注2)当該ウェブページでは、口座開設のプロセスや口座開設に必要な書類に関する情報などを掲載するとともに、口座開設に関するHKMAへの意見や質問を受け付けている。

(吉田和仁)

(香港)

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