政府主導のロボティクス研究機関、初のプロジェクト投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2018年06月27日

米国防総省の主導により設立された「先進ロボティクス製造研究所〔Advanced Robotics Manufacturing(ARM)Institution〕」は6月12日、高度ロボット技術を使った4つの技術開発プロジェクトに対して、合わせて約700万ドルとなる初の投資を行うことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ARM研究所は、オバマ前政権時代に立ち上げられた「米国製造業イニシアチブ(Manufacturing USA initiative)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の一環として、国防総省主導の下、カーネギーメロン大学が率いる非営利団体アメリカン・ロボティクス(American Robotics)が中心となって2017年1月に設立された(注)。アメリカン・ロボティクスは、ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とした産学官パートナーシップで、2017年1月時点で123の民間企業、40の学術機関、64の政府・非営利組織から構成される。

研究所の設立時には、連邦政府(国防総省)から8,000万ドル、地方政府・企業・大学などのコンソーシアムから1億7,300万ドルの資金拠出を受け、この資金を使って、ロボット技術とセンサー・人工知能(AI)・材料科学といった先進技術を融合した製造技術開発への投資を行っている。こうした投資を通じて、製造業の生産性向上、雇用の増加、企業の収益性向上などにつなげることを目指している。

今回発表された4つのプロジェクトは、今後予定されている正式なプロジェクト決定に先立ち、研究所の任務を早期に知らせて、製造現場に影響を与えていくことを目的とした予備的プロジェクトとされている。具体的には、複合材料の製造、自動車の組み立て、研磨・表面処理、ワイヤーハーネス(自動車・航空機などの内部配線)の組み立ての4つの製造工程に関し、ロボット技術を使った先端的な技術開発プロジェクトが選ばれている(表参照)。

表 ARM研究所が投資を行うことを発表した4つの技術開発プロジェクト

正式なプロジェクトの募集は、既に2017年10月と2018年5月に行われており、それぞれ2018年の夏、秋から冬にかけて対象プロジェクトが決定される見込みとなっている。1回目の募集では、製造部品の自動追跡や研磨・表面処理工程のコスト削減などの7つのテーマが、また2回目の募集では、これら7つにソフトウエアの相互運用性を加えた8つのテーマが掲げられている。

(注)「マニュファクチャリングUSAイニシアチブ」の下では、3Dプリンターや材料の再生利用などを研究テーマとした14機関(2018年6月時点)が設立されている。ARM研究所は14番目に設立された機関。

(権田直)

(米国)

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