稚内~コルサコフの旅客船、2018年度は運航を休止

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2018年06月08日

北海道稚内市の第三セクター・北海道サハリン航路(以下、HSL)は5月25日、稚内とサハリン州コルサコフを結ぶ旅客船の2018年度の運航休止を発表した。同航路はもともと、1999年度からハートランドフェリーが貨客船を定期運航していたが、採算の悪化に伴い、2015年度に運航を中止した。

2016年度、2017年度はロシアの海運会社サハリン海洋汽船(SASCO)が運航主体、HSLが日本側総代理店となり、稚内市とサハリン市が運航経費の補助を折半するかたちで、旅客船の不定期運航が行われていた。2018年度も6月の運航開始を目指して関係者間で調整を行っていたが、サハリン市側の経費負担承認の遅れなどにより、運航休止に至った。

最盛期にはサハリンでの石油ガス開発プロジェクト向けの車両や重機、食料などの供給を行い、年間で貨物7,000トン、旅客数6,500人を輸送した実績がある。しかし、石油ガス開発プロジェクトが一段落するとともに需要が減少。また、サハリンで大型のショッピングモールができたことで、買い物目的で訪れていたロシア人客が減少したことも、利用低迷につながったとみられる。しかし、地元観光業者からは「日本国内からのみならず、台湾などからも稚内を経由したサハリン観光に対する関心が高まっている」として、運航再開に期待する声が上がる。

旅客船が運休となる一方、稚内市側は貨物輸送の利便性確保に向け、貨物船のチャーター運航を行うことを計画している。チャーター便は2017年度、食料品、建築資材、機械などを計5回、チャーター便でサハリン向けに輸送した実績がある。

サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで北海道の高橋はるみ知事と会談したサハリン州のオレグ・コジェミャコ知事は、「運航休止は技術的な要素が強い。航路の維持は北海道とサハリン州の経済関係強化のために不可欠」として、運航再開に向けた意欲を示した。

(加峯あゆみ)

(ロシア、日本)

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