ロス~ラスベガス2.99ドル、ドイツ新興バス会社が米国進出

(米国)

ロサンゼルス発

2018年06月08日

欧州で長距離バスを運営するフリックスバス(Flixbus)が、5月31日から米国でサービスを開始した。カリフォルニア州ロサンゼルス~ネバダ州ラスベガス間、ロサンゼルス~アリゾナ州フェニックス間、フェニックス~ラスベガス間、カリフォルニア州サンディエゴ~ラスベガス間などを運行している。

同社は2013年にドイツで創業。欧州の伝統的な移動手段である長距離バスに、テクノロジーとeコマースを組み合わせて成長した。自社バスを持たずに地元バス会社と提携し、路線決定やブランディング、マーケティング、チケット販売などの運営を行うビジネスモデルを築いた。顧客満足度や問い合わせなどのデータを重視し、低価格と車内Wi-Fi、座席電源、広い足元スペース、バスの現在地のGPS検索などを売りに欧州で市場を広げてきた。

5月15日にロサンゼルスで行われたプレス向け説明会で、共同創業者であり最高経営責任者(CEO)のアンドレ・シュバンライン氏は、環境にやさしい輸送を目指す同社のビジョンや欧州27カ国で7,000人以上の運転手の雇用を生み出してきた実績をアピールし、欧州の経験を米国に持ち込みたいと語った。

米国法人取締役のピエール・ゴーダイン氏は、「西海岸の人々は運転にうんざりして生産的でないと感じている。これは自動運転の開発に適した環境ではあるが、それまではバスでの移動に大きな需要がある。バスなら乗客はリラックスし、おしゃべりやSNS、仕事ができる。人々がバスに乗れば交通渋滞も緩和できる」と西海岸に着目した理由を説明した。同社は6つの地元バス会社と提携し1日180便から始め、2018年末までに1,000便以上への拡大を目指している。

利用者は、アプリまたはウェブサイトから路線と利用日時を検索する。ロサンゼルス~ラスベガス間の運賃は2.99ドルから。フェニックス~ラスベガス間の片道運賃は0.99ドルから。曜日など需要に応じて価格は変わる。予約手数料は2ドル。車内に持ち込めない大型荷物は10ドル追加される。行程にかかる二酸化炭素(CO2)排出量をオフセットするための金銭補償(ロサンゼルス~ラスベガス間では約0.83ドル)を任意で支払う独特な選択肢もある。支払いはクレジットカードかペイパルが使用可能で、乗車券はスマートフォンの画面に表示され、係員にバーコードを提示して乗車する。

(北條隆)

(米国)

ビジネス短信 b98ff61d0fd4d436