周知不十分な排水基準、商工会議所がセミナー開催

(フィリピン)

マニラ発

2018年06月07日

2016年に導入されたフィリピンの新排水基準は、公示されていたものの進出日系企業に広く知られていなかった。これを受けてフィリピン日本人商工会議所は5月10日、新排水基準に関するセミナーを開催した。講師として参加した環境天然資源省環境管理局(EMB)のレサ・アコーダ氏およびラグナ湖開発庁(LLDA)のエミテリオ・ヘルナンデス氏は、企業はコンプライアンス・アクション・プラン(CAP)と呼ばれる計画書をEMBに提出し、認定を受ける必要があると説明した。両氏は「しかるべき手続きを踏まない場合は、1日当たり1万~20万ペソ(約2万~42万円、1ペソ=2.1円)の罰金や業務停止命令が科せられることもある」と述べた。

新排水基準を満たすために一定の準備期間が必要な場合、CAPを提出する際にその旨を示し、当局がそれを承認すれば、承認した時点から最長で5年間、新排水基準に対応するための猶予期間が付与される。両氏は「2016年に制定した新排水基準について、その対応状況を確認するために企業への立ち入り検査を実施する可能性もある。なるべく早くCAPを提出し、猶予期間を申請してほしい」と呼び掛けた。

新排水基準は企業の業種、地域ごとに満たすべき基準を細かく設定している。加えて貴金属類、アンモニア、塩化物などの基準が他国に比べて特に厳しくなっており、セミナーでは一部の企業からどのような技術を使えば基準を達成できるか不明といった声も聞かれ、両氏は「処理技術については産業技術開発研究所(ITDI)に相談してほしい」と回答した。

なお、CAPの記載項目と排出基準の具体的な把握方法については添付資料参照。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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